2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック転写因子による遺伝子特異的な転写制御機構
Project/Area Number |
21570181
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桜井 博 金沢大学, 保健学系, 准教授 (00225848)
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Keywords | ストレス応答 / 熱ショック転写因子 / 培養細胞 / 酵母菌 |
Research Abstract |
熱ショック応答において中心的な役割を担うHSF(heat shock transcription factor)は、HSE(heat shock element)に結合し転写調節を行うが、HSE塩基配列は多様性に富んでおり、この塩基配列の違いが、厳密な転写調節において重要であると考えられる。これについて、以下の1~3を検討した。 1)ヒトHSF4標的遺伝子の同定HSF4を強制発現した細胞のRNAと対照RNAをGeneChip(Affymetrix)により比較したが、RNA量が大きく変動した遺伝子は検出できなかった。HSF4の転写活性が低かったか、あるいは、ほとんどの遺伝子はHSF4による転写調節を受けないと考えられる。 2)さまざまな生物のHSFとHSEサブタイプを介した転写調節シロイヌナズナ、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュのHSFは、多様なHSE配列に結合できるのに対し、線虫HSFは、特定のHSE配列にのみ結合することを明らかにした。なぜ、このような違いがあるのかについては、検討中である。 3)ヒトHSFファミリーが異なるHSE特異性を示す分子メカニズムヒトHSF1について詳細なドメイン解析を行いHSE配列特異性に関与する短いアミノ酸配列を同定した。相同な配列が、線虫、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュのHSFにも存在することより、HSFの分子構造、および、HSE配列特異的な結合において重要であると考えられた。事実、このアミノ酸領域をショウジョウバエとゼブラフィッシュのHSFから除くと、おのおののHSE特異性は大きく変化した(線虫HSFでは、HSE特異性は変化しなかった)。今後は、この領域の作用メカニズムについての解析が必要である。
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Research Products
(3 results)