2011 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモン受容体αmRNAのuORFによる翻訳抑制機構
Project/Area Number |
21570182
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
矢尾板 芳郎 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00166472)
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Keywords | 甲状腺ホルモン受容体 / 翻訳 / 5'-非翻訳領域(5'-UTR) / uORF / ツメガエル / 変態 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、(1)甲状腺ホルモン受容体αmRNAの5'-非翻訳部位(TRα 5'UTR)が両生類で保存されていること、(2)翻訳抑制活性を示すこと、(3)15-24塩基からなる5カ所の領域が翻訳抑制活性を持つこと、(4)upstream open reading frame(uORF)であるエレメント5ではORF構造が重要なこと、(5)GCリッチなエレメント4では塩基配列に強く依存している傾向が見られることなどが明らかになった。今年度の成果を以下に示す。 1.引き続き、エレメント4の詳細な変異配列を用いた翻訳抑制機構の解析を行い、強い塩基配列依存的な翻訳抑制が再確認された。エレメント4はstem-loop構造を形成することが予測され、3塩基からなるloopの1塩基を除いて、配列に変異を導入すると翻訳抑制活性の低下が観察された。stem-loop構造を保つような変異でさえも塩基配列を変えると活性が下がった。その塩基配列特異性はSP1-binding siteと極めて類似していた。 2.TRα 5'UTRの翻訳抑制活性はカエル筋芽細胞株や腎臓由来細胞株でも、ヒト由来細胞株でも観察できた。 3.TRα 5'UTRにある5つの翻訳抑制エレメントは5'UTRに存在すれば単独で細胞内でも、無細胞系翻訳システムでも翻訳抑制活性を示した。 4.TRα 5'UTRを含むTRαを過剰発現させた尾の筋細胞では、TRα 5'UTRを含まないTRαを過剰発現させた筋細胞と比較して細胞死が抑制されることを観察した。アフリカツメガエルの幼生の尾の筋節にTRαを過剰発現させると甲状腺ホルモンによる尾の筋細胞死が促進される事が示唆されているので、筋細胞死が抑制された実験結果はTRα 5'UTRが生体内において機能しTRα mRNAの翻訳効率を阻害したためであると考えられる。 以上の研究成果を学会で発表した。専門誌Journal of Biochemistryに掲載される予定になっている。
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Research Products
(10 results)