2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21570188
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
定塚 勝樹 基礎生物学研究所, 多様性生物学研究室, 助教 (40291893)
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Keywords | 分子生物学 / 遺伝学 / 酵母 / ゲノム動態 / 染色体 / 細胞周期 / クロマチン / 細胞分裂 |
Research Abstract |
遺伝情報を記録したクロマチンDNAは、細胞が分裂期に入ると太くて短い分裂期染色体へとその形態が大きく変化する。染色体凝縮と呼ばれるこの現象は、次世代に遺伝情報を継承するために重要な役割を果たしている。モデル生物の出芽酵母では、リボソームRNA遺伝子(rDNA)リピート領域は分裂期になると顕著な形態変化(凝縮)が観られ、またそれに働くコンデンシン複合体の主要な局在部位であることもわかっている。これまでの解析から、コンデンシン複合体の因子に変異を持った細胞では、rDNAリピート領域での組換え頻度の異常な上昇と、それに伴うリピートの不安定化によりコピー数が著しく減少することがわかってきた。 今年度、コンデンシン変異細胞では何故rDNAリピート領域での組換え頻度の異常な上昇が観られるのかを、DNA組換えで中心的な役割を果たすRad52蛋白質の局在を中心に調べた。野生型細胞においてRad52蛋白質は、細胞周期を通してrDNAリピートがある核小体にはほとんど局在しない。一方、コンデンシン変異細胞では、間期の細胞では野生型と同様にRad52蛋白質の核小体への局在が観られないが、分裂期の細胞では核小体への局在が観られるようになることが判明した。この結果から、コンデンシン変異細胞ではRad52の核小体への侵入が、rDNAリピートでの組換え頻度の異常な上昇に繋がっていることが示唆される。分裂期にコンデンシンによりrDNAリピート領域が正常に凝縮することが、組換えタンパク質の侵入を防ぎ、リピート構造を維持することに貢献していると考えられる。
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