2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規に発見したIRBITの中枢神経系におけるマスター調節因子としての機能解明
Project/Area Number |
21570190
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
水谷 顕洋 独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 客員研究員 (30242861)
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Keywords | IRBIT / IP3レセプター / 多重リン酸化領域 / マスター調節因子 / 細胞外環境応答 |
Research Abstract |
IRBITのリン酸化パターンを解析すべく、LC-MS/MSを用いてIRBITのリン酸化部位の同定を試みた。IMAC等にてリン酸化ペプチドを濃縮後、LC-MS/MSに供したが、残念ながら、この方法ではIRBITのリン酸化部位は同定出来なかった。おそらく、IRBITの多重リン酸化の個数が多く、かつ、これが短い領域に集中していることにより、リン酸化ペプチドのイオン化が難しいのが原因と思われた。そこで、LC-MS/MSによる解析は諦め、Phos-tag PAGEを用いてIRBITリン酸化パターンの解析を行ったところ、IRBITのリン酸化パターンは、主に3つのパターン(Stage.1~3)に分離できることが判明した。そして、IP3受容体に極めて高い親和性で結合するのは、Phos-tag PAGEで最も移動度の遅いStage.3の画分であり、一方、p/bNBC1に結合するのは、Stage.1~3いずれにも結合するという、IRBITのリン酸化パターンと標的分子との間に、何等かの選別機構が存在することが示唆された。Phos-tag PAGEで分離できる3つのリン酸化パターンをin vitroリン酸化反応による再構成を試みたところ、Stage.2は、PKD/CK1のリン酸化で、Stage.3は、PKD/CK1+PKAによるリン酸化によって再現出来ることが判明した。さらに、PKAによるリン酸化は、IRBTのSer62,Ser64の両残基に起きることを点変異蛋白質を用いた実験で明らかにすることが出来た。今後は、このSer62,64のリン酸化されたIRBITを特異的に認識できるprobe(抗体)を作製し、このリン酸化が中枢神経系でどの様に働いているかを調べたい。
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Research Products
(2 results)