2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570206
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 章嗣 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (30174775)
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Keywords | 細胞性粘菌 / Dictyostelium discoideum / クリノファジー / 分泌顆粒 / PSV / リソソーム / バフィロマイシンA1 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
細胞性粘菌Dictyostelium discoideumの発生過程においては、多細胞からなる移動体が形成され、予定胞子細胞、予定柄細胞への分化が起こる。予定胞子細胞は、分化特異的な分泌顆粒であるPSVを持つ。移動体から予定胞子細胞を分散すると予定胞子細胞の脱分化が進行し、分化形質であるPSVも消失する。このPSV消失過程を電子顕微鏡を用いて解析したところ、移動体分散約2時間後からリソソーム様の構造とPSVとの融合がみられ、その後、PSVの内容物が分解される様子が観察された。分泌顆粒がリソソームと直接融合して、その内容が分解される現象は"クリノファジー"と呼ばれている。動物細胞では、クリノファジーがホルモン分泌顆粒の分解に働いてホルモン分泌を調節していることがよく知られている。本年度は、細胞性粘菌のPSV消失時におこるクリノファジーの過程をさらに解析するため、リソソームマーカーのカテプシンDとエンドソームマーカーのP80に対する抗体を用いて、PSV消失時におこるリソソームとエンドソームの挙動を追跡した。カテプシンDについてはD. discoideumの成熟酵素のN末端20アミノ酸に対する抗体を作製した。その結果、移動体分散後、約2時間で、リソソームとエンドソームがほぼ同時にPSVと融合し、それ以降、PSV抗原の消失が見られた。この事実は、PSV消失過程が確かにクリノファジーによること、クリノファジーにエンドソームも関与することを示している。プロテオーム解析については、現在、分散後2時間の移動体細胞からPSVを密度勾配遠心法により効率よく単離する方法を引きつづき検討している。23年度中に、移動体分散2時間後の粘菌細胞からPSV膜を単離し、二次元電気泳動法でPSV膜タンパク質の変動について解析を試みる。
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