2011 Fiscal Year Annual Research Report
線虫初期胚の紡錘体形成に関わる2つの微小管制御経路の解析
Project/Area Number |
21570209
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戸谷 美夏 独立行政法人理化学研究所, 高次構造形成研究グループ, 研究員 (80455360)
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Keywords | 紡錘体形成 / 微小管制御 / オーロラキナーゼA / γ-チューブリン / 線虫初期胚 / ライブイメージング / RNAi |
Research Abstract |
微小管は、細胞内で細胞周期にしたがって整然と再編成され、分裂期には、染色体の分配装置となる紡錘体が迅速に形成される。γ-チューブリンは、微小管の形成起点となることが知られているが、線虫C. elegans初期胚の細胞分裂では、γ-チューブリン(TBG-1)とは別に、オーロラキナーゼA(AIR-1)が関与する微小管形成機構が存在し、機能的な紡錘体を形成するためには、それら2つの独立した微小管形成経路が必要であることが示されている。本研究では、いまだ多くのことが明らかにされていない、オーロラキナーゼAの紡錘体形成への役割に着目し、線虫AIR-1が関与する紡錘体微小管制御の分子機構を明らかにすることから、微小管が細胞内で時間的・空間的に制御されるしくみの理解を深めることを目指した。 昨年度までの研究から、線虫初期胚においてAIR-1は、リン酸化活性をもつ活性型として中心体で機能することに加えて、リン酸化活性をもたない不活性型AIR-1としても機能し、TBG-1とは独立に、中心体に依存しない微小管形成に関与することを示唆する結果を得た。 オーロラキナーゼAの活性化因子であり、中心体に依存しない分裂期染色体近傍からの微小管形成に必須な因子として、TPX2が広く同定されている。TPX2の線虫ホモログであるTPXL-1とAIR-1との関係を調べた結果、線虫初期胚では、TPXL-1は、中心体に局在するAIR-1のキナーゼ活性化因子としての働きはもたず、キナーゼ不活性型AIR-1の微小管上への局在に必要であることが示唆された。本研究から、AIR-1は、キナーゼ活性型として中心体に局在して紡錘体の二極性を保ち、キナーゼ不活性型AIR-1が、凝集した染色体と、TPXL-1を介した微小管上への局在により、染色体近傍での微小管形成、および、微小管の安定化に寄与していることが示唆された。
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