2009 Fiscal Year Annual Research Report
核膜ドメインを基盤とした分裂期細胞における核膜形成制御
Project/Area Number |
21570211
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
船越 智子 The Institute of Physical and Chemical Research, リアルタイム生体イメージング研究チーム, 基幹研究所研究員 (90318460)
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Keywords | 核膜 / 核膜孔複合体 / リアルタイムイメージング / 膜動態 |
Research Abstract |
核膜孔の核膜平面上の分布細胞周期によって異なる。特にG1期では、核膜孔が多く分布するポア領域と、核膜孔の少ないポアフリー領域が明瞭に観察できる。2つのドメインにはサブタイプの異なるラミンや異なる膜タンパク質が排他的に分布する。ポアフリー領域が広い核では転写活性が低く、核膜ドメインは核膜構造と核機能制御の関連を示す1例として捉えることができる。核膜タンパク質の局在観察から、核膜ドメイン形成は分裂期中期以降にはじまることが予想された。培養細胞を用いた分裂期細胞の染色体を観察対象とした既存の解析手法がないため、本研究では、セミインタクト分裂期培養細胞を用いたin virto核膜再形成系を樹立し、核膜形成初期のメカニズムを明らかにすることを目的とする。 本年度は、異なる核膜ドメインに局在する核膜タンパク質をプローブとして、核膜再形成初期段階である分裂期染色体へのターゲットをイメージング観察できる実験系を確立した。核膜タンパク質を染色体ヘターゲットさせるには細胞質因子が必須であること、ATP(GTP)が必要であることの他、分裂期の進行によって細胞質因子の要求性が異なることを明らかにした。 核膜孔膜タンパク質であるPom121の核移行シグナル(NLS)を同定しNLS変異体を作成した。NLS変異体細胞内局在観察により、Pom121のNLSは分裂期染色体ヘターゲットには必要でなく、間期の核膜孔形成に必須であるがわかった。Pom121のNLSはImportinαを介してImportinβと結合することを確認した。RCC1温度変異株であるtsBN2を用いて、Pom121の核膜への局在化はRan、Importinの制御下にある可能性を示す結果を得ている。Pom121は核膜孔形成過程の他、間期核における核内膜タンパク質の内膜への輸送経路を解析するためのプローブとしても有用であると考える。
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