2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570213
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Research Institution | 防衛大学校 |
Principal Investigator |
市村 徹 防衛大学校, 応用科学群, 教授 (50213012)
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Keywords | ユビキチン / リン酸化 / シグナル伝達 / メンブレントラフィック / 14-3-3タンパク質 / TRIM32 |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、筋ジズトロフィーの原因遺伝子産物であるTRIM32ユビキチンリガーゼが、タンパク質キナーゼA(PKA)によってC末端近傍のSer残基でリン酸化されること、またこのリン酸化を契機として14-3-3タンパク質と複合体を形成し、酵素活性が抑制されることを明らかにしていたので、今年度は、このリガーゼ複合体が細胞内トラフィックと生理機能に及ぼす効果を主に検討した。TRIM32の野生体、またはリン酸化変異体をそれぞれ安定に発現するNIH3T3細胞株を作成し、それらの増殖活1生を比較したところ、野生型TRIM32を発現するNIH3T3株では増殖能が亢進し、変異体を発現する細胞株では亢進しなかった。これらの結果は、TRIM32のリン酸化と14-3-3の結合は、TRIM32の機能発現に重要であることを示唆した。TRIM32の細胞内局在を蛍光イメージング分析したところ、TRIM32は細胞質において斑点状の凝集体(cytoplasmic body)を形成することが明らかとなった。また、TRIM32は、14-3-3と相互作用することで、この凝集体を形成しなくなることも明らかとなった。さらに、この凝集体の形成に、微小管を介する細胞骨格物質輸送経路が重要な役割を果たしていることを見出し、またこの際の輸送も14-3-3との相互作用により抑制されることを明らかにした。以上の結果は、ユビキチン化とリン酸化のクロストークに関する新しい知見を提示するとともに、PKAによるTRIM32のリン酸化は、14-3-3を補助因子として利用することで、TRIM32の細胞内トラフィックを制御するメカニズムになることを示唆した。
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Research Products
(3 results)