2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌のオーガナイザー領域形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
21570214
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
福澤 雅志 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10231557)
|
Keywords | 発生・分化 / オーガナイザー / 遺伝子発現制御 / 転写因子 / エピジェネティックス / 細胞分別 |
Research Abstract |
粘菌オーガナイザーの機能が欠失していると考えられるマルチチップ株(mt変異体)について、mt変異体の欠陥を回復させる因子について実験を行い、野生株とmt変異体の混合培養で欠陥が相補されることを見いだした。さらに、この相補作用は野生株の培養上清をmt変異体に処理することによっておこることが明らかになった。これらの結果は、発生初期におけるオーガナイザー機能の一つであるチップドミナンスの制御が、分泌性の物質により担われていることを示唆しており、今後の研究展開が期待できる。これまでで基本的な実験はほぼ終えたので、今年度は論文作成用のデータの取得を行った。また、変異遺伝子の同定のため、基礎生物学研究所との共同利用研究でゲノムのリシークエンスを昨年度から継続して遂行中である。 pstA1マーカー遺伝子のecmAの転写制御に関わるrcdK遺伝子の破壊株は作成が完了し、分化マーカーによる解析や、リコンビナントタンパク質の作成とバンドシフト実験などの基本的なデータ取得は完了した。現在論文作成にむけて準備中である。さらにGFPタグによる解析で、シグナルが細胞膜にある細胞と、核にある細胞とに別れていたため、局在による制御が予想された。よって、ポリクローナル抗体を作製し、この現象を調べている。 pstA2細胞の増殖期での分化は、娘細胞、孫細胞にマーカー遺伝子omt12の発現がうけつがれることから、エピジェネティックな転写制御が関わっていることが予測されたが、今年度はプロモーター解析を中心に研究を進め、制御に重要なシス配列を同定した。また、DNAのメチル化によって転写制御を受けている証拠が得られている。
|