2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌のオーガナイザー領域形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
21570214
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
福澤 雅志 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10231557)
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Keywords | 発生・分化 / オーガナイザー / 遺伝子発現制御 / 転写因子 / エピジェネティックス / 細胞分別 |
Research Abstract |
粘菌オーガナイザーの機能が欠失していると考えられるマルチチップ株(mt変異体)について、野生株とmt変異体の混合培養で欠陥が相補されることが昨年度までにわかっていたが、今年度は回復させる因子についてさらに追究した所、野生株が存在しなくても、低濃度(1microM)のアデノシンの添加のみでmt変異体の欠陥が相補されることを見いだした。走化性物質のcAMPを用いたニードルアッセイにおいては、周期的な細胞運動の逆転が観察されるが、これもアデノシンの添加で正常に戻った。これらの結果は、発生初期におけるオーガナイザー機能の一つであるチップドミナンスの制御にアデノシンシグナルが関わっていることを示唆している。いままでに知られていたアデノシンの効果は2mMという高い濃度でみられることから、mt変異体ではアデノシンに対する感受性がかなり高くなっていると思われ、データがそろい次第論文発表する予定である。mt変異体における変異遺伝子の同定のためのゲノムリシークエンスは終了したので、H24年度は基礎生物学研究所との共同利用研究でデータ解析を行っている。 pstA1マーカー遺伝子のecmAの転写制御に関わるrcdK遺伝子については、現在論文投稿後のリバイス中である。さらにFRAGとMYCのダブルタグによる解析で、rcdKは他にあまり例が知られていない膜拘束型転写因子であり、特定の部位の切断による局在制御があることがわかったので、今後の研究により詳細を明らかにしていく。 pstA2細胞の増殖期での分化は、エピジェネティックな転写制御をうけるが、今年度はひきつづきポイントミューテーションなどのプロモーター解析を進めた。また、セルソーターで分離したVSCとpstA2をもちいて高速シークエンサーによる解析を計画し、今後の新たな研究展開の準備を行っている。
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