2009 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ近縁種の種間雑種を用いた性決定遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
21570221
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
濱口 哲 Niigata University, 自然科学系, 教授 (20126444)
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Keywords | メダカ / 性決定 / 性分化 / 生殖巣 / 種間雑種 / 性転換 |
Research Abstract |
本研究はメダカとハイナンメダカ、ルソンメダカの種間雑種を用いて、メダカの性決定遺伝子DMYとルソンメダカの性決定遺伝子GSDFに始まる性決定過程に関与する遺伝子の探索を行うものである。本年度は、近交系メダカとハイナンメダカの種間雑種性転換(XY雌)の出現は使用する近交系により異なり、HdrRのXY個体はすべて雌、HNIは雄と雌両方、HO4Cはすべて雄になることが確認された。また、発生過程の観察から、XY個体が雌になる場合には性分化初期から雌方向に分化すること、また、予備的結果ながら、DMYおよびその下流で発現するGSDFの発現量が雌を生じる種間雑種において低下していることが示された。したがって、種間雑種においてはDMYの発現誘導に関与する遺伝子の不適合が起こっていることが示唆され、今後、この原因遺伝子の探索により、DMYの上流の制御に関わる遺伝子を明らかにすることが出来ることが示唆された。 また、性決定遺伝子を異にするハイナンメダカとルソンメダカの種間雑種においては、いずれかの性決定遺伝子を持つ個体は雄に分化すること、またどちらも持たない個体では雌20%雄80%の割合で両者が出現することが明らかになった。さらに、性分化過程の観察から、種間雑種においては生殖細胞の増殖はXX,XYともにふ化後30日くらいまで抑制されており、その後60日くらいにかけて増殖を開始して卵巣あるいは精巣を形成することが分かった。その間、性分化期の雄でユニークな発現様式を示すGSDF,DMRT1の発生初期過程での発現は、通常のXY個体と変わらないことから、XX個体の雄への性転換は通常の性分化制御とは少し異なる経過で生じていることが分かった。今後、両種への戻し交配個体を得て、DMYあるいはGSDFの性決定に不可欠な遺伝子の同定を試みる予定である。
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