2011 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ近縁種の種間雑種を用いた性決定遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
21570221
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
濱口 哲 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20126444)
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Keywords | メダカ / 性決定 / 性分化 / 生殖巣 / 種間雑種 / 性転換 / Dmy / Gsdf |
Research Abstract |
本研究はメダカとハイナンメダカ、ルソンメダカの種間雑種を用いて、メダカの性決定遺伝子Dmyとルソンメダカの性決定遺伝子Gsdfに始まる性決定過程に関与する遺伝子の探索を行うものである。本年度はF1XY個体がすべて♂になるHO4C系統とハイナンメダカのF1,およびF1XY個体がすべて♀に分化するHdrR系統とハイナンメダカF1の違いの原因となっていると思われる連鎖群17にある遺伝子(Hml)を、HO4CとHdrRの遺伝的多型性を活用したファインマッピングにより探索した。その結果、Hmlは連鎖群17上のマーカーSca164stratとSca435-1に挟まれた遺伝距離0.2cM、物理距離で624Kbの領域に存在することが明らかになった。その領域に存在が予測される27の遺伝子の性分化時期の発現解析を行ったところ、25の遺伝子でバンドが確認され、シークエンス解析から、そのうち8個は目的領域の遺伝子の発現であることが確認された。 さらに、当該領域が6つのBACクローンでカバーされることが明らかになったことから、ハイナンメダカの受精卵にそれら6つのBACを遺伝子導入して、性転換個体の出現を指標にどのBAC領域にHmlが存在するかの検討を試みた。現在までに導入遺伝子を持つ個体の作出には成功しており、さらに生殖細胞を介して導入遺伝子を受け継いだ個体の作出に取り組んでいる。 本年度の研究から、性決定遺伝子Dmyの発現制御に関わると思われるHmlについて、かなりの程度までの染色体領域の絞込に成功したが、未だ遺伝子そのものの同定には至っていない。今後、Insitu hybridizationによる候補遺伝子の発現解析と遺伝子導入実験から、Hmlを同定することにより、Dmyの発現制御機構の一端を明らかにすることができるものと考えている。
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