2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570222
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山口 正晃 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (60182458)
|
Keywords | ウニ / 間接発生 / 直接発生 / 体腔形成 / ヨツアナカシパン / Hox遺伝子 / 棘皮動物 / 進化 |
Research Abstract |
ウニ類の発生様式は間接発生と直接発生の2つに大別される。間接発生種は摂餌するプルテウス幼生をへて数週間かけて変態するのにたいして、直接発生種は卵黄に富んだ大型の卵から摂餌することなく数日で変態する。ウニ類の祖先的な発生様式は間接発生であり、直接発生は複数の系譜で独立に進化したと考えられている。直接発生の進化をもたらした発生メカニズムの変更を明らかにするため、これまで不明であった直接発生種ヨツアナカシパンの体腔形成過程を幼生の連続切片から三次元像を再構築することに解よって解析した。おどろくことに、ヨツアナカシパンはこれまで報告されているウニ(間接発生種と直接発生種をふくむ)とちがい、腸体腔と裂体腔の両方の形成様式をもちいて、かつ左右相称の段階をスキップして、成体構造を構成する複数の体腔を口-反口軸にそって直接積み上げること示明らかになった。 Hox遺伝子は左右相称動物の前後軸にそったパターン化を調節している。ウニゲノム解読はウニのHox遺伝子クラスターに転座と逆位があることを明らかにした。間接発生種では初期胚においてHox7とHox11/13bがそれぞれ反口側外胚葉と内胚葉で発現し、変態期の幼生のU字型俸腔で転座していない5つのHox遺伝子(Hox7~Hox11/13b)が口-肛門軸にそってcollinearに発現する。ヨツアナカシパンにおけるHox発現パターンをWMISH法によって解析した結果、間接発生種の発現パターンを保存しているだけでなく、Hox1とHox11/13bが予定歩帯領域で、Hox3とHox5が予定間歩帯領域でそれぞれ放射状に発現していることが判明した。この4つのHox遺伝子はいずれもクラスター内で逆位している。これらのHox遺伝子の発現パターンは棘皮動物の進化に洞察をあたえる:左右相称の祖先種の後方がとぐろを巻きその左中央に口が移動あるいは新生され、その周囲に水管系が放射状に展開したのではないだろうか。その五放射状の新規構造の進化に逆位したHox遺伝子が転用されたようにみえる。Hox遺伝子クラスターの分裂が棘皮動物のユニークな成体ボディープランの進化と向伴した、あるいは定着させたという説を提案する。
|
Research Products
(5 results)