2009 Fiscal Year Annual Research Report
核-細胞質間輸送による胚発生の新たな制御機構の解明
Project/Area Number |
21570224
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安原 徳子 Osaka University, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (90423152)
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Keywords | 核-細胞質間蛋白質輸送 / 細胞分化 / 胚発生 / importin α |
Research Abstract |
真核細胞では、核-細胞質間の情報伝達は核膜上の核膜孔を介して行われる。核膜孔は自由に通過できる分子のサイズが制限されており、大きな分子は輸送因子により選択的かつエネルギー依存的に輸送される。これまでの研究から、核-細胞質間蛋白質輸送システムが、転写因子の輸送調節を通し、胚性幹細胞(ES細胞)の分化に重要な役割を果たすことが示唆された。ES細胞では分化の段階に応じて異なる輸送因子が発現し、特異的な転写因子を適切な時期に核へと輸送する。では、胚発生の過程では核-細胞質間蛋白質輸送システムはどのように働くのであろうか。本研究では、マウス胚発生過程での輸送因子の機能およびその発現制御のメカニズムを解明する。本年度は輸送因子のひとつであるimportinαに焦点を絞り、マウス胚の発生過程での発現を解析した。その結果、マウスでは5種類が存在するimportinαファミリーが初期胚発生過程でそれぞれ特異的な発現パターンを示すことが明らかになった。特に、原始外胚葉や原始外胚葉を取りまく臓側内胚葉の形成過程でimportinαファミリーの発現部位が限局されることを見出した。また、胚へのマイクロインジェクションによって特定のimportinαファミリーの発現を抑制すると、胚発生に異常をきたすことが分かった。逆に、発生のより早い段階でimportinαファミリーの特定の遺伝子を細胞に導入したところ、それらの細胞の運命が限定されることを見出した。以上の結果より、importinαファミリーの発現変化が胚発生のどの段階でインパクトを示すか明らかにした。
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