2011 Fiscal Year Annual Research Report
核-細胞質間輸送による胚発生の新たな制御機構の解明
Project/Area Number |
21570224
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安原 徳子 (垣内 徳子) 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (90423152)
|
Keywords | 核-細胞質間分子輸送 / 初期胚発生 / importin α / 情報伝達制御 |
Research Abstract |
真核細胞の核は核膜で覆われ、内外の物質の出入りは厳密に制御されている。核膜孔は自由に通過できる分子サイズが制限されており、大きな分子は輸送因子により選択的かつエネルギー依存的に輸送されるのだ。これまでの我々の研究から、核-細胞質問蛋白質輸送システムが、胚性幹細胞(ES細胞)の分化に重要な役割を果たすことが示唆された。ES細胞では分化の段階に応じて異なる輸送因子が発現し、特異的な転写因子を適切な時期に核へと輸送する。このような転写因子の輸送制御は細胞の運命決定に欠かせない。本研究では、マウス胚発生過程での輸送因子の機能およびその発現制御のメカニズムを解明した。昨年度は輸送因子のひとつであるimportin αに焦点を絞り、マウス胚の発生過程での発現を解析した。結果、マウスでは5種類が存在するimportin αファミリーが初期胚発生過程でそれぞれ特異的な発現パターンを示すことが明らかになった。以上の結果より、importin αファミリーがマウス胚の発生に何らかの役割を果たしている可能性が伺えた。本年度はimportin αファミリーの機能解析を行い、ファミリー分子のひとつが分化に関る特定の転写因子の輸送を阻害することを見出した。この阻害活性は、ファミリー分子に存在する新たな罪にタンパク質の結合領域に依存する。また、ある種の転写因子のダイマー形成が特定のファミリー分子による輸送を促すことも明らかにした。以上から、importin αファミリーが積荷分子の種類を識別して輸送を制御し、様々な細胞分化に関る可能性が示唆された。これらは、発生過程でのimportin αの機能や積荷蛋白質を解明するに当たり、重要な知見である。
|