2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570229
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小川 峰太郎 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (70194454)
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Keywords | 血管新生 / Foxo1遺伝子 / 血管内皮細胞 / ES細胞 / 血管平滑筋細胞 / 試験管内分化 / 遺伝子発現 / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究は、血管新生に必須の分子であるFoxo転写因子の機能を明らかにすることにより血管新生の細胞生物学的調節機構を解明することを目的として、特にFoxo1が血管内皮細胞のVEGF依存的伸長反応を調節する分子メカニズムについて解析を行ってきた。本年度は、Foxo1による細胞形態調節の責任遺伝子の同定を試み、候補遺伝子の血管内皮細胞における機能について解析した。 野生型又はFoxo1欠損型のES細胞から分化誘導した血管内皮細胞について、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現の網羅的解析を行った。その結果、野生型に比べてFoxo1欠損型で発現が減少する遺伝子を31個、増加する遺伝子を36個同定した。また、VEGFの添加による遺伝子発現の変動を野生型とFoxo1欠損型で比較したところ、VEGFを添加した野生型だけで増加する遺伝子を21個、減少する遺伝子を54個同定した。 次に、Foxo1欠損型で減少した候補遺伝子の中から心血管系細胞の機能調節への関与が報告されているものを選択し、Foxo1欠損ES細胞に強制発現させて、血管内皮細胞の伸長機能が回復するかどうかを検討した。これまで導入した17種類の候補遺伝子のうち、ある種のプロテインホスファターゼ結合因子の遺伝子を導入したFoxo1欠損細胞で伸長機能の回復が認められた。この因子は、ミオシン軽鎖ホスファターゼ(MLCP)を調節することが報告されており、MLCPは血管平滑筋等において細胞運動や形態変化の制御に関与することが知られている。今後、この因子の発現を誘導的に調節するFoxo1欠損ES細胞を作製し、血管内皮細胞の細胞伸長における機能について詳細に検討する予定である。
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Research Products
(3 results)