2011 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエの減数分裂を制御する母性因子複合体の解析
Project/Area Number |
21570233
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
向 正則 甲南大学, 理工学部, 講師 (90281592)
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Keywords | 発生・分化 / 発現制御 |
Research Abstract |
Mamoは生殖細胞の分化制御に関与する母性因子である。Mamoの作用機構の解析を目的としてH23年度は、研究1.Mamoの標的遺伝子の解析を主に進めた。これまでに、ゲルシフト解析からbru-3がMamoの標的遺伝子として同定されている。そこで、bru-3遺伝子の発現に対するMamoの影響を解析した。bru-3は体細胞性遺伝子で、胚発生過程の神経細胞中で強く発現する。これに対して、Mamoは生殖細胞中に母性供給されるが、体細胞中にはほとんど含まれない。Mamoのbru-3発現に対する影響を調べるために、Mamoを初期胚全体で強制発現する実験系をGal4/UASシステムを用いて開発した。卵形成過程で遺伝子を強制発現できるmat-tub-Gal4をドライバーとし、UAS-Mamo遺伝子を発現誘導し、Mamo強制発現胚を作り、この胚におけるbru-3遺伝子の発現を解析した。その結果、Mamo強制発現胚で神経細胞中のbru-3の発現が顕著に低下することが判明した。Mamoがbru-3遺伝子発現の抑制に十分な機能をもつことが判明した。さらに、Mamo強制発現胚を使って、Mamoの遺伝子発現に対する影響を解析したところ、興味深い結果が得られた。Mamo強制発現胚中で生殖細胞特異的遺伝子(Vas)の発現を解析したところ、生殖細胞以外の体細胞中で異所的にvas遺伝子の発現が誘導されることが分かった。また、ゲルシフト解析を行った結果、vas遺伝子座にもMamoと直接結合する配列が見つかった。このことは、Mamoがvas遺伝子の活性化に直接関与する可能性を示唆する。以上の結果から、Mamoが体細胞性の遺伝子(bru-3)発現を抑制する、さらに生殖細胞特異的遺伝子(vas)の発現を活性化する二つの作用をもつことが初めて明らかになった。
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