2010 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病関連遺伝子が食習慣ならびに食後の生理的多型性に与える影響
Project/Area Number |
21570250
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岸田 邦博 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (30412703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綱分 憲明 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (10172040)
四童子 好廣 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (00111518)
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Keywords | 生理的多型性 / 遺伝子多型 / 食習慣 |
Research Abstract |
被験者である大学生135名(男性34名、女性101名)から得られたDNAサンプルについて、次の6つの遺伝子多型について解析を実施した。(1)β3アドレナリン受容体:BAR3 Trp64Arg、(2)脂肪酸結合タンパク2:FABP2 Ala54Thr、(3)アルコール脱水素酵素2:ADH2 Arg47His、(4)アルデヒド脱水素酵素2:ALDH2 Glu487Lys、(5)NADH脱水素酵素サブユニット2:ND2 C5178A、(6)NADH脱水素酵素サブユニット3:ND3 G10398A各遺伝子型の分布頻度をHapmap Projectデータベースと比較したところ、男性では一部偏りが認められるものがあったが(ND3 G10398A)、概ね近い値が得られた。また、同じ被験者から食物摂取頻度調査および写真撮影法による2種類の方法で食事調査を実施し、栄養素別および食品群別による摂取量を推定した。遺伝子多型と食生活との関連を検討したところ、β3アドレナリン受容体遺伝子多型において、男女ともにTrp/TrpタイプはArgキャリア(Trp/ArgまたはArg/Arg)と比較して、炭水化物からのエネルギー摂取割合が低く、脂質からのエネルギー摂取割合が高い傾向が認められた。一般に、高脂肪食の長期摂取は血中の遊離脂肪酸の増加によりインスリン抵抗性が惹起され、糖代謝異常、脂質代謝異常を引き起こし、いわゆるメタボリックシンドロームの病因となることが知られている。生活習慣病発症リスクが高いとされているArgキャリアでは、生体内での脂質の異化が低下しているとされており、本研究結果は、生体恒常性維持のために、生体内での代謝レベルが食行動に反映されている可能性を示唆するものである。今回は、健常な被験者を対象としたが、メタボリックシンドロームの病態を呈する被験者でも同様の傾向が認められるのか、つまりArgキャリアの特徴である炭水化物を主なエネルギー源とする食生活パターンが崩れることがメタボリックシンドロームにつながるのかを確認することが今後の検討課題である。
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Research Products
(3 results)