2011 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ属植物における多胚発生制御遺伝子の同定とその多様化に関する研究
Project/Area Number |
21580005
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大村 三男 静岡大学, 農学部, 教授 (90355397)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 育種 / 発生・分化 |
Research Abstract |
無性胚発生は植物の繁殖に重要な役割をもつため、その制御に関わる遺伝子の同定を目標に解析研究を行った。本研究ではカンキツの珠心に由来する体細胞胚発生に関わる遺伝子を研究対象として、連鎖地図に基づくポジショナルクローニングと遺伝子発現のプロフィール解析の方法からアプローチした。前年度までの解析で、多胚性制御遺伝子を第1連鎖群上約380kbに限定して、塩基配列を決定し、72の候補遺伝子ORFを予測した。これらのORFを対象遺伝子の候補として、単胚/単胚性ハプロタイプのゲノム配列比較を行い、構造差を検出した。本年度は、構造差に基づいて以下の解析を行った。1.胚性の異なるハプロタイプ配列に構造差のあった15ORFについて、発現比較を行った。多胚品種3点と単胚品種3点における胚珠の発育に伴う発現変動解析で胚性に共通したものの抽出を試みた。これらには、胚形成と関連を推察される転写因子遺伝子などが含まれたが、胚性と関連した発現プロフィールを示すものは検出されなかった。シロイヌナズナに形質転換し、過剰発現させても発育への影響は観察されなかった。また、カンキツ培養細胞から体細胞胚誘導に伴って発現変動する遺伝子に、この領域との明瞭な関連を示さなかった。2.両ハプロタイプのゲノム配列には、多数の挿入欠失が33カ所に検出された。この配列差のうち、明瞭に識別可能な15カ所についてSTSプライマーを作成し、カンキツ54品種の多型解析に適用した。その結果,胚性と高い関連を示す挿入欠失型の出現は、多胚性遺伝子領域と推察された380kbの中央部にある150~250kbの領域に高い連鎖不平衡を示し、これにより対象領域を約1/2に収斂させることができた。また、この領域では、単胚性品種のもつハプロタイプには多様な配列分化が認められたのに対して、多胚性ハプロタイプ間における差は極めて小さいことが分かり、多胚性遺伝子分化を考察し、目的遺伝子を単離するための重要な情報となった。
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[Journal Article] Characterization of genomic sequence showing strong association with polyembryony among diverse Citrus species and cultivars, and its synteny with Vitis and Populus2012
Author(s)
Nakano, M., T.Shimada, T.Endo, H.Fujii, H.Nesumi, M.Kita, M.Ebina, T.Shimizu, M.Omura
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Journal Title
Plant Science
Volume: 183
Pages: 131-142
Peer Reviewed
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[Journal Article] PCR primer for marker assisted backcrossing to introduce a CTV resistance gene from Poncirus trifoliate (L.) Raf.into Citurs2011
Author(s)
Ohta, S., T.Endo, T.Shimada, H.Fujii, T.Shimizu, T.Kuniga, T.Yoshioka, H.Nesumi, T.Yoshida, M.Omura
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Journal Title
J.Japan.Soc.Hort.Sci.
Volume: 80
Pages: 295-307
Peer Reviewed
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