2009 Fiscal Year Annual Research Report
オオムギ野生種におけるS遺伝子座領域のゲノム解析と認識決定因子の同定
Project/Area Number |
21580006
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
掛田 克行 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (50221867)
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Keywords | 自家不和合性 / イネ科 / S遺伝子 / ゲノム解析 |
Research Abstract |
オオムギ野生種(Hordeum bulbosum)はSおよびZ遺伝子座の独立二遺伝子座支配の自家不和合性を有している。本研究室では、雌ずい側のS候補遺伝子HPS10(Hordeum Pistil S-specific 10)が単離され、この遺伝子について解析が進められている。本研究では、花粉側S遺伝子の探索およびS遺伝子座領域のゲノム構造の解析を行うため、S_1およびS_3ハプロタイプのHPS10遺伝子周辺ゲノム領域のクローンコンティグの全塩基配列の決定、ORFの推定および発現解析を行った。決定した全塩基配列を用いたHarr plot解析により、2つのSハプロタイプ間で相同性が高い4つの領域が検出されるとともに、HPS10遺伝子近傍に多型に富む領域の存在することが明らかとなった。GeneMarkおよびRiceGAASプログラムによって推定されたORFのうち、S_1およびS_3においてそれぞれ4個のORFの発現を確認した。このうちS1-GM13については、発現量は低いものの葯特異的発現を示し、HPS10近傍に位置することから、花粉側S遺伝子の候補となる可能性が示唆された。次に、HPS10遺伝子の隣に位置する遺伝子(S_1およびS_3-DUF247)の実際の転写領域が推定ORF領域とは異なることが判明し、それらの全長cDNA配列および雌ずい特異的発現が明らかとなった。また、S_1およびS_3DUF247遺伝子の推定アミノ酸配列の比較から、C末端部に多型性の高い領域のあることがわかった。今後、DUF247遺伝子および葯特異的な発現が認められたS1-GM13 ORF領域の遺伝子について、さらに多型性および発現パターンの調査を行い、新たなS遺伝子候補として解析を進める必要がある。
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Research Products
(7 results)