2010 Fiscal Year Annual Research Report
水田における15年間連用施肥の残効消失過程に関する研究
Project/Area Number |
21580017
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
片野 学 東海大学, 農学部, 教授 (80125468)
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Keywords | 水稲 / 無農薬 / 無施肥 / 施肥残効 / 生育 / 収量 / 食味 / 有機農業 |
Research Abstract |
阿蘇の原野を開墾し1980年度から慣行化学農法条件下で畑作物を栽培してきた圃場を,1992年度に水田に造成・転換した圃揚(8a)内に,1993年度から,無農薬条件とし,施肥条件を変更した試験区を作り,水稲を同一施肥条件下で15年間単作してきた水田を対象とし,16年目を迎えた2009年度から,9試験区すべてを無施肥で水稲を栽培した.供試品種はミネアサヒ,栽植距離は30×15cm,ペーパーポットで育苗した第4葉抽出苗を1株3本植えとした.移植1週間後から収穫期までの毎週,各区中央部1条×lO株の草丈・茎数・葉齢・葉緑素含有量(以下,SPAD値とする)について調査を行い,また出穂の様相も毎日調査した.収穫期に収量および収量構成要素の調査は,常法に従って各区より連続3条×10株=30株を3ヶ所,合計90株と1株平均穂数近似代表3株を調査した.収量調査で得られた精玄米の食味成分である蛋白質含有量をケット食味成分分析計AN820で分析した. 15年目までの収量は施肥区に比べ無施肥区では顕著に低かったが,無施肥1年目の2009年度には区間に有意差はなくなり,無施肥1年目(2009)の収量と施肥15年目(2008)の収量との間には正の相関が見られたものの、回帰直線式から得られたXの係数は0.077、確率は51%であり、連用施肥残効を見出すことは極めて困難な結果であった.さらに,施肥区で有意に高かった精玄米中のタンパク質含量にも有意差は消失し,15年間連用施肥の残効は無施肥1年目でほとんど消失していることが明らかになった. 無施肥2年目の2010年度,精玄米中のタンパク質含量の平均値間の有意差は完全に消失していたが,9試験区の収量と施肥15年目の収量との間に6.3%レベルの正の相関関係が見出され,回帰直線式から得られたXの係数も0.375と上昇し,連用施肥の残効が認められた.
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Research Products
(1 results)