2010 Fiscal Year Annual Research Report
除草剤抵抗性変異を利用した水田雑草イヌホタルイの休眠・発芽調節機構の研究
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21580020
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
内野 彰 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・雑草バイオタイプ・総合防除研究チーム, 上席研究員 (20355316)
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Keywords | イヌホタルイ / 種子休眠 / VP1 / 水田雑草 |
Research Abstract |
本年度は、1.イヌホタルイの休眠・発芽特性の調査と2.イヌホタルイの休眠・発芽調節遺伝子群の同定を行った。 1.埋土種子の埋土翌年の出芽率は、各系統において3年間比較的安定した結果が得られ、種子休眠性は系統間で遺伝的に固定されているものと考えられた。この結果、出芽率の高い系統(休眠が浅い系統)として、1R1、1R41、3R7(出芽率0.19-0.34)を選択し、出芽率の低い系統(休眠が浅い系統)として2S10、5S13、5R43(出芽率0.02-0,08)を選択した。 2.イヌホタルイ種子から遺伝子発現解析に適した高い純度のRNAを単離する方法について検討し、昨年度の結果に加え、PVPPやRNA精製カラムなどを利用することにより、高い純度の種子RNAが得られた。種子休眠との関連が報告されているVp1/ABI3遺伝子は、イヌホタルイから2種類の遺伝子が単離された。単離したB3ドメイン近辺領域の約300bpについて他の植物と比較した結果、双子葉植物と59-62%の相同性、イネ科植物と66-67%の相同性を示した。種子休眠関連遺伝子DOG1、Sdr4については、既報の植物が少なく、イネ科の遺伝子配列を基に設計したプライマーでは単離できなかった。対照として実験を進めた水田雑草のタイヌビエ休眠種子からは、イネ科の遺伝子配列を基に設計したプライマーを用いVp1/ABI3、DOG1、Sdr4ともに複数の遺伝子を単離した。既報のイネ科植物との相同性はそれぞれ63-82%、85-87%、80%であった。タイヌビエ種子のVp1/ABI3発現量を予備的に調べたところ、休眠覚醒程度の異なる種子間に発現量の差異が認められなかった。最終年度となる本年度は、イヌホタルイのDOG1、Sdr4遺伝子の単離を進めるとともに、Vp1/ABI3、DOG1、Sdr4の各遺伝子について休眠覚醒程度の異なる種子間で発現量を比較し、一次休眠および二次休眠と遺伝子発現との関連性を明らかにする。
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