2011 Fiscal Year Annual Research Report
除草剤抵抗性変異を利用した水田雑草イヌホタルイの休眠・発芽調節機構の研究
Project/Area Number |
21580020
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
内野 彰 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・生産体系研究領域, 上席研究員 (20355316)
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Keywords | イヌホタルイ / 種子休眠 / タイヌビエ / 除草剤抵抗性 / 個体群動態 |
Research Abstract |
1.除草剤抵抗性変異が休眠・発芽特性に与える影響 4種類の抵抗性変異と種子発芽特性との連鎖をそれぞれ調べた結果、いずれの変異でも連鎖関係が認められず、ALS遺伝子の変異はイヌホタルイの休眠・発芽特性に有意な影響を及ぼさないことが明らかとなった。一方、種子発芽特性が抵抗性顕在化に及ぼす影響を、個体群モデルを作成してシミュレーションしたところ、種子休眠の浅い系統で抵抗性が顕著に早く顕在化することが明らかとなった。これを元に出芽率の実測値から抵抗性顕在化までの年数を推定したところ、抵抗性系統で種子休眠の浅い系統の多い理由を十分説明することができた。 2.休眠・発芽調節遺伝子群の同定 イヌホタルイ種子から純度の高いRNAを単離し、VPI、NADK1、EFlαを単離することができたが、休眠に深い関連があるとされるDOG1とMFTを単離することができなかった。この理由として、イヌホタルイの属するカヤツリグサ科植物の遺伝子配列情報が少なく、PCR primerの設計がうまく行かなかったためと考えられた。一方、タイヌビエでは、イネ科植物の遺伝子配列情報が多いこともあり、VP1、NADK1に加えて2種類のDOG1(DOG1-1,DOG1-2)とMFTを単離することができた。そこでタイヌビエ種子で休眠種子・非休眠種子を使って発現量を調べたところ、MFTの発現は温度に依存せず両者で明らかに異なる発現パターンを示し、DOGIは温度依存的に異なる発現パターンを示した。VP1では異なる発現パターンが見られなかった。このことから、タイヌビエの種子休眠にはMFTとDOG1が関与している可能性が考えられた。 以上、本研究により、イヌホタルイの抵抗性系統で種子休眠の浅い系統が多いことの理由が明らかとなるとともに、水田雑草で初めて休眠に関連する遺伝子が単離され、その発現パターンの差異が明らかとなった。
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Research Products
(4 results)