2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580021
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
船附 秀行 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター・低温耐性研究チーム, 主任研究員 (60370590)
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Keywords | ダイズ / QTL / 耐冷性 / 種子形成 / DNAマーカー / 未熟胚 / 低温 |
Research Abstract |
ダイズの耐冷性QTLであるqCTR-A2の発現部位を同定するため、遺伝解析を行った。同QTLに耐冷性強型の対立遺伝子をもつトヨハルカ(♀)に弱型の対立遺伝子をもつトヨムスメ(♂)を交配した場合、低温条件下で莢あたりの稔実種子数ならびに一粒重はトヨハルカ並に大きかったのに対し、逆の組み合わせでは、トヨムスメ並に小さくなった。両者とも胚の遺伝子型はF1で同じであるため、耐冷性QTLは種子親(母親)で発現していることが示唆された。さらに両者のF1を低温処理し、それに着生した各種子の遺伝子型と種子重との関係を調べたが、両者に関連は認められず、耐冷性QTLは種子親(母親)で発現していることが確認された。つぎに、qCTR-A2の発現時期を同定するため、1つ1つの花ごとに開花後のステージを追って、また処理期間をかえて、トヨムスメとqCTR-A2に関する準同質遺伝子系統Ic18を低温処理した。その結果、トヨムスメでは、どの期間においても2週間程度の低温処理では、1粒重の低下はみられなかったが、開花後1週間までに低温処理を始めると、莢あたり種子数が減少した。その減少程度は、開始時期が開花時に近いほど大きいことから、受精後胚が未熟なほど低温に弱いことが示唆された。一方Ic18では、2週間の処理では、莢あたり種子数の減少はみられなかった。一粒重に関しては、成熟まで低温処理をした場合のみ、減少がみられたが、開花2週間以降に処理を開始した場合は、減少がみられなかった。Ic18でも、早い時期から低温処理すると一粒重の減少がみられたが、その程度はトヨハルカに比べて小さかった。以上から、ダイズの開花後の低温感受性は、開花直後が最も高く、qCTR-A2の耐冷性強型対立遺伝子はその時期に種子親側で発現・機能していることが示唆された。
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