2009 Fiscal Year Annual Research Report
キキョウナデシコを主としたフロックス属の花色および遺伝子資源の解析
Project/Area Number |
21580026
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
國分 尚 Chiba University, 環境健康フィールド科学センター, 准教授 (20282452)
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Keywords | 園芸学 / 遺伝子 / 花色素 / シバザクラ / キキョウナデシコ / フロックス |
Research Abstract |
フロックス属(Phlox)はハナシノブ科の1年草または多年草で、日本ではクサキョウチクトウとシバザクラの2種が古くから栽培され、近年、キキョウナデシコも増えつつある。本研究ではこれらの花色素の構成と合成系遺伝子についての新知見を得ることを主な目的とする。 本年度は埼玉県秩父市羊山公園に植栽のシバザクラ9品種と千葉大学園芸学部で栽培したキキョウナデシコ41品種の花冠を採集し、抽出したアントシアニジンをHPLC分析に供した。アントシアニジンは標品とのコクロマトグラフィーで決定し、成分濃度データの主成分分析を行った。 花冠アントシアニジンとして、シバザクラではシアニジン(Cy)とデルフィニジン(DP)が、キキョウナデシコではペラルゴニジン(Pg)、Cy、ペオニジン(Pn)、Dp、ペチュニジン、マルビジン(Mv)の6種類が検出された。成分濃度データの主成分分析により、品種は6グループに分類できた。グループiはCy100%であり、赤や桃色のキキョウナデシコ4品種とシバザクラ2品種が属した。グループiiは赤から桃色で、CyとPnを含むが、Pnは最大41%だった。グループiiiは赤から青紫で、MvとCyを主とし、Mvが26-100%、Cyが71-0%と様々な割合だったが、DpやPnは少なく、メチル化酵素のDpに対する基質特異性が高いことが予想される。グループivはPg100%で、赤や桃色のキキョウナデシコ7品種が属した。グループvは青紫から桃色のシバザクラ4品種でCyとDpのみを含み、メチル化の活性が全くない。グループviは白花、黄花12品種で、アントシアニジンを含まなかった。グループiiiの花色は赤から青紫と幅広いが、アントシアニジンとの相関はあまりなく、アシル化やpHなどの関与が示唆された。シバザクラ品種の花色の幅が比較的狭いのは、アントシアニジン構成が単純であることが一因と考えられた。
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Research Products
(2 results)