2010 Fiscal Year Annual Research Report
キキョウナデシコを主としたフロックス属の花色および遺伝子資源の解析
Project/Area Number |
21580026
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
國分 尚 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 准教授 (20282452)
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Keywords | 遺伝子資源 / 花色素 / シバザクラ / キキョウナデシコ / フロックス |
Research Abstract |
フロックス属、特にキキョウナデシコとシバザクラの花色とその遺伝子資源解析を目的として、本年度はキキョウナデシコにおける花色素合成遺伝子の一つであり、ペラルゴニジンとシアニジンの合成を切り替える鍵酵素をコードする、F3'Hのクローニングを試みた。 フロックス属が含まれるツツジ目植物の既知のF3'Hゲノム塩基配列から保存領域を探し、プライマーを設計した。シアニジンを蓄積する品種の蕾からRNAを抽出し、逆転写酵素で合成したcDNAをテンプレートとしてPCR法によって目的の遺伝子を増幅後、塩基配列を決定した。結果として1つの塩基配列を得たが、この配列には保存領域が含まれず、同じファミリーに属する別の遺伝子をクローニングしたものと考えられた。 シバザクラについては21年度に9品種の花色素のアントシアニジンを分析した結果、キキョウナデシコには存在するペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、マルビジンがないために花色の幅が狭くなっていることを推測したが、この仮説を検証するため、新たにシバザクラ30品種の花色素を分析した。これまでと同様にシバザクラではペラルゴニジンとシアニジンのみ確認され、仮説は否定されなかった。 また、シバザクラ品種の起源を探るため、シバザクラ39品種の葉緑体DNA遺伝子間領域(trnL-F)の塩基配列を決定し、Genbankに登録されているフロックス属33種の配列とともに最節約法による系統解析を行ったところ、シバザクラ品種は8グループに分けられ、内3グループはシバザクラとは別種の葉緑体DNAに近い配列をもつことが判明し、「シバザクラ」とされる園芸品種の一部は予想以上に複雑な成立過程を経ていることが推察された。
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