2011 Fiscal Year Annual Research Report
キキョウナデシコを主としたフロックス属の花色および遺伝子資源の解析
Project/Area Number |
21580026
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
國分 尚 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 准教授 (20282452)
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Keywords | 遺伝子資源 / 花色素 / シバザクラ / キキョウナデシコ / フロックス |
Research Abstract |
フロックス属、特にキキョウナデシコとシバザクラの花色とその遺伝子資源解析を目的として、本年度はキキョウナデシコにおける花色素合成遺伝子の一つであり、デルフィニジンとシアニジンの合成を切り替える鍵酵素をコードする、F3'5'Hのクローニングを試みた。同時に他のアントシアニン合成系遺伝子、CHS,DFR,ANS,R2-R3 Mybをクローニングし、RT-PCRによる発現解析を行った。 キキョウナデシコ野生種の先行研究で決定された塩基配列から保存領域を探し、プライマーを設計した。ペラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジンから誘導されるマルビジンをそれぞれ蓄積する品種の蕾からRNAを抽出し、逆転写酵素で合成したcDNAをテンプレートとしてPCR法によって目的の遺伝子を増幅後、塩基配列を決定した。また、それぞれの遺伝子のプローブを作成し、発現解析を行った。 野生種と同様に、園芸品種でもマルビジンを蓄積する品種ではF3'5'Hが発現していたが、ペラルゴニジンやシアニジンを蓄積する品種では転写が抑制されていた。その他の遺伝子はどの品種でも転写されていた。したがって、キキョウナデシコ園芸品種においても野生種同様、F3'5'Hの発現がデルフィニジン系色素とそれ以外を決定する要因であることが判明した。 F3'5'Hのコーディング領域には転写量を変化させるような品種間差異がみられなかったため、F3'5'Hの上流約3,000塩基の配列を調べたところ、優性のアレル1種類(Hc)と劣性のアレル2種類(hc-1,hc-2)を発見した。Hc hc-1ヘテロの個体を自家受粉し、後代の遺伝子型と色素を調べたところ、HcホモとHc hc-1ヘテロの個体はマルビジンを、hc-1ホモの個体はシアニジンをそれぞれ蓄積し、遺伝子型と表現型が一致した。
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