2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580028
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩本 嗣 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10333428)
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Keywords | フキ / 育種 / ソマクローナル変異選抜 / フェノール成分 / ビタミン |
Research Abstract |
独自の生態系が保持された原生林を有し、海抜0mから最高峰金北山の標高1,172m付近まで、フキが目生する佐渡島の65地点において、雌雄比調査を実施した。その結果、標高が高い地点では雄株の比率が高くなり、標高の低い地点では、雌株の比率が高くなる傾向が認められ、標高の高い地点では、雄株の群落が至る所に認められた。これらの株の地下茎を収集し、新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター新通ステーションの圃場に定植して栽培した。同一条件で2年間栽培したにも係わらず、葉身の凍結乾燥粉末に含まれるクロロゲン酸の含有量は、3.27~14.41mg/g、フキノール酸は24.27~47.22mg/g、3,5-ジカフェオイルキナ酸は30.16~140.28mg/g、3,4,5-トリカフェオイルキナ酸は5.63~26.57mg/gと系統間で1.95~4.72倍の差が認められた。そこで、フェノール4成分の含有量と採集した標高との関連を調べたところ、クロロゲン酸、フキノール酸、3,4,5-トリカフェオイルキナ酸については、傾向は認められなかったが、標高70m以下の地点で採集した系統の3,5ジ-カフェオイルキナ酸の含有量30.16mg/gに対し、標高280mを超える地点で採集した系統の含有量は2.59倍を超えていた。さらに、雌雄比と3,5-ジカフェオイルキナ酸の含有量との相関を調べたところ、雄株率と3,5-ジカフェオイルキナ酸の含有量の間にr=0.9584の高い相関があり、標高の高い地点に自生し、雄株率が高い系統ほど3,5-ジカフェオイルキナ酸の含有量が高く、その中でも、標高1,156mの金北山山頂付近という厳しい環境で自生する系統は、140.28mg/gとずば抜けて高い含有量であることが明らかとなった。 以上の結果から、佐渡島に自生するフキに含まれるフェノール4成分の含有量には大きな系統間差があり、その内、3,5-ジカフェオイルキナ酸含有量の高い系統を選抜・維持できる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)