2009 Fiscal Year Annual Research Report
忌地現象発生機構の解明並びに総合的植物生育改善法の確立
Project/Area Number |
21580029
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松原 陽一 Gifu University, 応用生物科学部, 准教授 (40301212)
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Keywords | 忌地現象 / 菌根菌 / アスパラガス / 耐病性 / NaCl / 海洋深層水 / 非病原性フザリウム |
Research Abstract |
園芸植物生産における忌地現象について、国内外で問題となるアスパラガス忌地現象を事例とし、忌地現象における主導因子の組織学的評価を行うとともに、化学的・生物的手法による植物生育改善法の検討を行った。 国内産地(長野)の忌地圃場より採取したアスパラガスについて忌地症状の組織学的調査を行った結果、根株における忌地症状には共通特徴が存在し、貯蔵根褐変化、皮層外層を中心とした組織・細胞崩壊、木部導管における糸状菌の存在が観察された。一方、立枯病菌の人工接種による病徴とそれらの症状は一致し、既知アレロケミカル(フェルル酸、カフェ酸)処理した根株では高次の萌芽・発根が抑制されたが根褐変化はみられなかったことから、忌地症状の主導因子は生物的因子であることが示唆された。 次に、フザリウム病耐性誘導に関する検討としてNaCl及び海洋深層水処理の影響を調査した。その結果、NaCl(50,100mM)及び海洋深層水(10,50倍希釈:富山入善より入手)の単独処理により立枯病及び株腐病防除効果がみられる場合があり、さらに、AMF(arbuscular菌根菌:Glomus intraradices, Gigaspora margarita)との複合処理により耐病性が向上することが明らかになった。一方、新たな生物防除エージェントして、アスパラガスより分離された非病原性フザリウム菌による耐病性誘導を試みた結果、単独処理でも耐病性誘導効果が確認され、AMFとの複合接種により耐病性が増強された。これらのことから、塩処理及び生物防除エージェントを利用した耐病性誘導が期待できることが示唆された。 以上のことから、本研究では、忌地現象における主導因子は生物的因子(特にフザリウム病)が主導である可能性が高いことを明らかにするとともに、塩処理及び生物防除エージェントによる耐病性誘導により植物生育改善を図れることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)