2010 Fiscal Year Annual Research Report
忌地現象発生機構の解明並びに総合的植物生育改善法の確立
Project/Area Number |
21580029
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松原 陽一 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40301212)
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Keywords | 忌地現象 / 菌根菌 / アスパラガス / 耐病性 / NaCl / 非病原性フザリウム / 抗酸化機能 / 遊離アミノ酸 |
Research Abstract |
園芸植物生産における忌地現象についてアスパラガス忌地現象を事例とし、本年度は化学的・生物的手法による植物生育改善法の検討並びに耐病性機構の植物生理学的解析を重点的に行った。 忌地現象の生物的主導因子である立枯病及び株腐病の化学的防除法としてNaCl処理(50-100mM)による耐病性誘導を確認し、耐病性機構解明として抗酸化機能及び遊離アミノ酸変動解析を行った。その結果、NaCl処理区ではSOD(抗酸化酵素)活性や総アスコルビン酸(抗酸化物質)含量が高まる場合があり、数種遊離アミノ酸(アスパラギン,グルタミン,シトルリン,GABA,アルギニン等)増大も確認された。一方、生物的防除法としてアーバスキュラー菌根菌及び非病原性フザリウム菌(著者が保有)による耐病性検定の結果、単独・複合処理区とも耐病性誘導の再現性が確認され、また、菌根菌とNaClの複合処理区でも耐病性増強がみられた。耐病性機構解析を行ったところ、菌根菌、非病原性フザリウム菌処理共にSOD活性、抗酸化物質(総ポリフェノール,総アスコルビン酸含量)、DPPHラジカル捕捉能の増大がみられ、その効果は菌根菌処理区で特に大きかった。また、菌根菌処理によりアスパラギン、セリン、グルタミン、シトルリン、GABA、アルギニン等の共生特異的遊離アミノ酸増大も確認された。一方、NaCl及び菌根菌処理による増大遊離アミノ酸がフザリウム菌(立枯病菌)増殖に及ぼす直接的影響をin vitroで検定(Czapek-Dox培地によりアミノ酸濃度を0.1, 1%に設定)した。その結果、アルギニン、セリン、GABA、シトルリンにおける有意な増殖抑制がみられた。 以上のことから、本研究での化学的・生物的手法による耐病性誘導には、抗酸化機能及び遊離アミノ酸変動が密接に関与していることが示唆された。また、機能性アミノ酸であるGABAが化学的・生物的手法により増大したことも興味深く、植物生育改善のみならず、植物体及び収穫物の機能性成分制御面でもそれらの手法が有効となる可能性が考えられた。
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Research Products
(11 results)