2011 Fiscal Year Annual Research Report
忌地現象発生機構の解明並びに総合的植物生育改善法の確立
Project/Area Number |
21580029
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松原 陽一 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40301212)
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Keywords | 忌地現象 / 菌根菌 / アスパラガス / 耐病性 / NaCl / 誘導抵抗性 / 抗酸化機能 / 機能性成分 |
Research Abstract |
園芸植物生産における忌地現象についてアスパラガス忌地現象を事例とし、本年度は、発生機構解明に関して化学的・生物的因子の相互作用評価系の確立、耐病性機構について誘導抵抗性評価及び抗酸化機能解析を重点的に行った。 In vitroにおいて、既知アレロケミカル(フェルル酸、カフェ酸、シュウ酸)添加培地(Czapek-Dox培地)での立枯病菌(Fusarium oxysporumf.sp.asparagi)の増殖反応を調査した結果、アレロケミカル添加培地での立枯病菌の増殖変動がみられ、添加物質による変動差異があることが示唆された。また、前述アレロケミカルを添加したKnops培地において、無菌播種アスパラガス実生への立枯病菌接種検定を行いアレロケミカルと発病誘導との関連性を評価した結果、添加培地での発病変動がみられた。これらのことから、in vitroにおける外的要因排除環境下でのアレロパシー及び病害の相互作用評価系を確立でき、今後、他の数種既知アレロケミカルを供試し、総合的に関連性を評価することが可能となった。 続いて、split root system法によりAMF(arbuscular mycorrhizal fungi)、非病原性フザリウム菌、NaCl処理による立枯病への誘導抵抗性を評価した結果、程度は異なったが3処理により誘導抵抗性が確認された。また、抗酸化機能[抗酸化酵素(SOD、APX)、抗酸化成分(ポリフェノール、アスコルビン酸)、DPPHラジカル捕捉能]変動を解析した結果、誘導抵抗性との関連性が示唆された。一方、グリーン系アスパラガスの他に、近年需要が増加している紫アスパラガスにおけるNaCl及び有用微生物(AMF及び非病原性フザリウム菌)による耐病性誘導検定により、グリーン系と同様に紫系においても立枯病・株腐病耐性誘導がみられ、機能性成分(ポリフェノール、アスコルビン酸)が増大する場合があることが確認された。 以上のことから、本年度は発生機構解明に関してアレロパシー及び病害との相互作用評価系を確立でき、グリーン及び紫アスパラガスの両品種において化学的(NaCl)・生物的(AMF及び非病原性フザリウム菌)手法によるフザリウム病耐性を確認し、それには誘導抵抗性及び抗酸化機能が関連することを明らかにした。
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