2009 Fiscal Year Annual Research Report
各種バイオマスから高分子タンニンの架橋反応を利用したエコ茶碗の製造技術の開発
Project/Area Number |
21580038
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松尾 友明 Kagoshima University, 農学部, 教授 (90041673)
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Keywords | 植物繊維残渣 / センニン / 渋柿 / 廃棄物再資源化 / バイオマス / 脱石油社会 / エコ茶碗 / 環境調和型農林水産 |
Research Abstract |
本新規素材は、木粉や竹粉に加えて柿の渋み成分(カキタンニン)とタンパク質(ミルクカゼイン)および酵素類似触媒を利用して、作成し、それを加熱、圧縮することによって、エコ茶碗等の成型品を作成していた。予備実験では、それら以外に緑茶がら、ウーロン茶がら、コーヒーがら、豆乳残さ、柑橘ジュース残さ、サツマイモのデンプン滓、焼酎滓などが利用できることが示された。平成21年度の研究では、それらの残さを大雑把に分析すると、(1)セルロースなどの多糖類が主成分のもの(木粉、竹粉など)、(2)それに加えて、タンパク質を多く含むもの(緑茶がら、豆乳かすなど)、(3)それに加えて、クチクラや油脂を多く含むもの(コーヒー滓や豆乳かすなど)、(4)酸化酵素の活性が強く残っているもの(ウーロン茶がら、緑茶がらなど)に分類することができた。このことは、食品や飲料産業から排出される各種の植物残さを相互にブレンドすることによって、従来のように新ためて、タンパク質や酵素類似触媒を添加することなく、従来品に近い、天然物100%の成型品を作る可能性が見いだせた。このことは、廃棄された多様な植物残さを有効利用できることに加えて、この成型品のコストを大幅に下げることが可能となった。そして、それぞれのブレンド割合を検討し、新素材を有効的に作製するとともに、新しいミニプラントタイプの加熱圧縮成型試験機でエコ茶碗をより効率よく作製する条件を検討した。その結果、従来は凍結乾燥粉末を用いると、180℃で80MPa20分間という高温熱圧縮で処理をしないと、望ましい成型品はできなかったが、本実験で、乾燥粉末に乾燥重当たり30%の水を加えることによって、95℃で12MPa10分間という温和な条件で成型品ができることを新たに見いだした。これは製造コストと時間を大幅に削減できることにつながる。現在、両者の条件で作製したものの特性試験を行っている。それ以外に、市販の酸化酵素によるカキタンニンのゲル化モデル実験を行い、各種の最適な反応条件を明らかにした。本年度は特許出願を見越して、学会発表および論文等の公表はひかえている。
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