2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジサイにおけるレトロトランスポゾン活性化現象を利用した花房型制御遺伝子の単離
Project/Area Number |
21580039
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
上町 達也 The University of Shiga Prefecture, 環境科学部, 助教 (40243076)
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Keywords | アジサイ / レトロトランスポゾン / 二本鎖RNA / RNA干渉 / 芽条変異 / 花房型 |
Research Abstract |
レトロトランスポゾンの活性化により突然変異を生じやすくなった個体・系統を見いだして,それを育種材料として用いることは,これまでにない新しい形質をもつ品種を育成する上で非常に有効な手段となる.筆者らはこれまでに,枝変わりの発生が認められたアジサイ品種'Blue Sky'において,複数の種類のレトロトランスポゾン配列が恒常的に転写されている現象を発見した.本研究では,この現象をアジサイの育種に有効に活用するために必要な基礎的知見を得ることを目的に,アジサイをはじめとするいくつかのアジサイ属植物について,レトロトランスポゾン転移の発生頻度を明らかにする.またレトロトランスボゾンの転写現象を利用して,花房型制御遺伝子の単離を行う. 本年度は,'Blue Sky'以外のアジサイ品種及び野生種,更にヤマアジサイやツルアジサイなど多くのアジサイ属植物について,RT-PCR法による転写解析を行った.その結果,広範囲のアジサイ属植物でレトロトランスポゾンの転写現象が生じていることが明らかとなった.また'レトロトランスポゾンの活性化現象を利用して花房型制御遺伝子の単離を行うための第一段階として,本年度は花房型の枝変わり系統の花芽で特異的に蓄積するレトロトランスポゾン配列の2本鎖RNAの単離を試みた.その結果,レトロトランスポゾンの転写量の減少がみられる花房型変異系統の花芽において,長鎖の二本鎖RNAが単離され,その中にレトロトランスポゾンの部分配列と相同性の高い配列が含まれていた.このレトロトランスポゾンの2本鎖RNA断片は,RNA干渉を引き起こしている,花房型制御遺伝子に挿入されたレトロトランスポゾン配列に由来するものである可能性があり,その場合この単離された配列をもとにゲノム解析を行えば,花房型制御遺伝子座が特定できるものと考えられる.
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