2011 Fiscal Year Annual Research Report
三倍体古典園芸植物センノウの起源の解明及び胚珠培養による自殖後代の育種的利用
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21580049
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Research Institution | 財団法人花と緑の銀行 |
Principal Investigator |
神戸 敏成 財団法人花と緑の銀行, 中央植物園部, 主任研究員 (00393108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 政司 財団法人花と緑の銀行, 中央植物園部, 主幹研究員 (40150859)
三位 正洋 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (30093074)
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Keywords | センノウ / 三倍体 / 古典園芸植物 |
Research Abstract |
日本に現存する三倍体センノウの起源の解明を目的として,三倍体センノウおよび国内外の近縁野生種の葉緑体DNAのPS-ID配列の解析を試みたところ,三倍体センノウの配列は中国浙江省産のセンノウ属野生種のみと一致し,その他の近縁種とは1塩基以上の違いが認められた.この結果は,日本に現存する三倍体センノウは中国浙江省産のセンノウ属植物の三倍体またはこの植物を母親にした雑種である可能性があることを示唆している.また,近縁種のガンピでは異なるPS-ID配列を持った二つの系統が存在することが明らかになった.センノウ属の日本産野生種であるエゾセンノウおよびオグラセンノウ,エンビセンノウ,マツモトセンノウの4種は同じPS-ID配列を持つ一方で,フシグロセンノウだけは,他の近縁種と比較して8塩基の反復配列が関与すると考えられる38bpの挿入または欠失配列が認められた. 三倍体センノウを育種に利用するため,自殖後代80系統を用いて,花粉稔性についての調査を行い,2010年の結果との比較を行った.親株であるMS系統の2010年と2011年の花粉稔性が70.0%と75.7%であったのに対し,後代では2010年が1.2~94.5%,2011年が5.0~98.2%であった.80%以上の高い花粉稔性を示した系統の花粉稔性は比較的安定し,花粉稔性が低い系統では不安定であった.また,染色体数が明らかになっていなかった後代の染色体数も明らかにし,最終的に二倍体相当である2n=24の染色体を持つ系統が3系統見つかった.これら3系統の2010年および2011年の花粉稔性は,系統番号1:未開花,87.5%,系統番号22:81.8%,81.1%,系統番号56:94.5%,97.5%で,比較的高い花粉稔性を示し,今後の育種への利用が期待される.
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Research Products
(2 results)