2010 Fiscal Year Annual Research Report
フィールド・マージンの微生物群集構造と病原菌バンク機能の解明
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21580052
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宍戸 雅宏 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (80302537)
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Keywords | 感染・増殖 / 病原菌生態 / 微生物群集 / フィールド・マージン / 病原菌バンク / リアルタイムPCR / 土壌伝染性病害 |
Research Abstract |
フィールド・マージンの病原菌バンク機能を明らかにするために、平成22年度は、前年度に引き続き白紋羽病菌とホモプシス根腐病菌を定量的検出法のプロトコールを開発し、完成させた。具体的には、両菌に特異的なリアルタイムPCRプライマーおよびTaqManプローブを構築した。その結果、それぞれの検出限界はDNA 0.00001ngであり、極めて高感度であることが実証された。しかし、両プロトコールとも土壌抽出DNAではPCR阻害物質の影響を受けて、検出感度が低下することから、現在、その対策を検討している。また、後者のプロトコールを利用して、ホモプシス根腐病菌の宿主特異性の研究を発展させた。これはフィールド・マージンの病原菌バンク機能が病原菌の宿主特異性に依存している可能性があるためで、具体的にはウリ科野菜4種から分離したホモプシス根腐病菌と6種のウリ科植物を供試し、全ての組合せの発病程度と病原菌の感染・侵入程度を接種試験によって判定した。その結果、供試した病原菌の全てが全ウリ科植物に感染・発病させると共に菌の侵入程度にも宿主特異性は認められなかった。これは前年度にSYBR Green I系の検出プロトコールで得られた結果とほぼ同等であり、これらから本菌はウリ科内で宿主特異性を持たないか、或いは極めて小さいことが確かめられた。しかし、宿主植物間での感受性や菌株間での病原力と感染力には有意差が認められ、これらの相違の原因を探求することが本病原菌の生態を解明する上で重要であると考えられた。
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