2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物マイナス鎖RNAウイルスが誘導するバイロプラズムの形成機構と感染戦略上の役割
Project/Area Number |
21580056
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 秀樹 Okayama University, 資源生物科学研究所, 助教 (40263628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 信弘 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (70206514)
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Keywords | ランえそ斑紋ウイルス / ラブドウイルス / バイロプラズム / ウイルス工場 / 複製 / BiFC / 核移行 / マイナス鎖RNAウイルス |
Research Abstract |
この課題は、植物のマイナス鎖RNAウイルスであるランえそ斑紋ウイルス(OFV)が核内に誘導する封入体、バイロプラズム(Vp)の形成機構の解明とこの領域が担う役割の理解を目指している。本年度は、主にVp形成に関わると推定されるウイルス蛋白質の植物細胞内における動態を解析した。(1) OFVのNとPはVp様構造形成に関与するが、NとPに蛍光蛋白質タグ(GFP、dsRed)を結合し、Nicotiana benthamiana葉で一過的に発現させてその細胞内存在様式を調べた。ウイルス非存在下では、Nは細胞内に広く分布し、Pは核領域全体に分布した。一方、OFV感染細胞では両蛋白質とも推定Vp領域に局在化した。ウイルス非存在下でNとPを共に発現させると、両者の局在性が変化しVp様の局在パターンを示した。(2) Pには単一の核移行シグナル(NLS)の存在が示唆されているが、このNLS配列の変異体は核へ局在しなかった。さらに、このP変異体をNと共発現させた場合、Nの核への局在化が起こらなかった。(3) 酵母Two-hybrid法によりNとPの相互作用が確認され、さらにBiFC解析により、NとPは核内のVp様の局在領域内で相互作用していることが示唆された。以上の結果より、「PはNと相互作用し、Nの核への集積に関与するだけではなく、Nと共にVp様構造の形成にも必要である」 と考えられた。次年度に予定しているVp様構造を形成する組換え植物体作製に向け、N. bemtja,oamaでN、P遺伝子をそれぞれ導入した形質転換体を複数選抜した。現在TO個体から種子を採取中で、今後T1個体の解析と蛋白質の発現確認を行った後、交配実験を行う予定である。なお、ウイルス保毒ヒメハダニの細胞内所見については、現在ウイルスを安定的に保持するヒメハダニコロニーを選抜中である。
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Research Products
(3 results)