2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物マイナス鎖RNAウイルスが誘導するバイロプラズムの形成機構と感染戦略上の役割
Project/Area Number |
21580056
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 秀樹 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (40263628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 信弘 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (70206514)
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Keywords | ランえそ斑紋ウイルス / ラブドウイルス / Nicotiana benthamiana / ウイルス工場 / バイロプラズム / 粒子形成 / 封入体 / マイナス鎖RNAウイルス |
Research Abstract |
本課題は、植物のマイナス鎖RNAウイルスであるランえそ斑紋ウイルス(OFV)が核内に誘導する封入体、バイロプラズム(Vp)の形成機構とVp領域の持つ役割の理解が目標である。最終年度は、Vpと粒子形成の関わりを検討するとともに、Vp様構造を誘導する組換え植物の作出にも取り組んだ。(1)ウイルス粒子の主要構成因子であるN,P,Mの三者を植物細胞内で一過的に発現するとウイルス様粒子(VLP)が形成された。VLPは、核内ではNとPが誘導するVp様領域内部に集積して観察された。さらに、BIFC法で三者間の相互作用、局在性を明らかにした。(2)N(T3世代)およびP(T3/T1世代)を単独で発現するN.benthamiana形質転換体の交雑を試み、両者を発現するF1世代が得られた。現在、核内でVp様構造形成の有無を調べているが、このF1個体の表現型には目立った影響は認められていない。(3)N(T2世代)とM(T2世代)を同時発現するN.benthamiana F2個体を作出し、さらに、P発現個体(T1/T3世代)を掛け合わせることでN,P,Mの三者を発現するF1個体を得ることに成功した。DN法観察でVLP粒子が検出されたことから、これらの個体の細胞レベルで形態形成(粒子形成)が起きることが確認された。今後(2),(3)の後代で、細胞内所見の観察、防御応答関連遺伝子の発現解析、ウイルス接種実験などを行う予定である。(4)植物以外の細胞におけるVp形成機構については、OFVを保毒する媒介者ヒメハダニの維持管理が非常に難しく、限られた観察では虫体内におけるVp形成を確認するに至らなかった。(5)Vp形成因子の一つであるOFV-Nの配列相同性を検索中、偶然にも植物ラブドウイルス、バリコサウイルスのN(CP)類似配列が複数の植物核ゲノム上に存在することを発見した。
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