2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580058
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
植原 健人 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター北海道畑輪作研究チーム, 主任研究員 (30355458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 税 国立大学法人北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60281854)
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Keywords | ジャガイモシストセンチュウ / トマト / 抵抗性品種 / サリチル酸 / 線虫 / 植物免疫 |
Research Abstract |
農業上、植物寄生性線虫の被害は極めて大きく、その防除は、農薬、輪作、抵抗性品種の利用が欠かせない。中でも抵抗性品種の利用は経済的に極めて有効であり、環境保全防除技術としても優れている。将来、抵抗性誘導や抵抗性品種育成に有効となる基盤的知見を得ることを目的として、線虫に対する植物の抵抗性(免疫性)を詳細に解析することにした。材料は、最近発見した高度抵抗性トマト品種と感受性トマト品種を用い、それら品種の比較から抵抗性機構を明らかにしていく。当該年度は、マイクロアレイ解析で、抵抗性と感受性を詳細に比較した。その結果、抵抗性品種では、線虫接種後、いわゆる植物の抵抗性に関わると考えられる多数の遺伝子がダイナミックに誘導されていることが明らかになった。興味深いことに、抵抗性品種では線虫感染後フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)やMYB関連遺伝子の誘導が起こるが、逆に感受性品種では、それら遺伝子の抑制が起こっており、感受性品種における線虫感染は植物の抵抗性反応を抑制しているようであった。次に植物の抵抗性に関連していると言われる、サリチル酸(SA)とジャスモン酸(JA)と線虫抵抗性の関係を探るため、SAとJAの遺伝子マーカーと使われるPR遺伝子の挙動を確認した。その結果、抵抗性品種はSA系のPR1が強く誘導する傾向にあり、感受性品種はJA系のPR6が強く誘導する傾向にあった。抵抗性品種ではSAシグナル伝達により誘導され、感受性品種では線虫感染がSAシグナル伝達を乱しているのではないかと推測している。
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