2011 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエを用いたネムリユスリカの乾燥耐性候補遺伝子の遺伝学的解析
Project/Area Number |
21580071
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 保志 京都工芸繊維大学, ショウジョウバエ遺伝資源センター, 研究員 (70535799)
|
Keywords | ストレス / 乾燥耐性 / LEAタンパク質 / ネムリユスリカ |
Research Abstract |
ネムリユスリカの乾燥時特異的発現遺伝子組換えキイロショウジョウバエのうち、PvLae1~PvLae4遺伝子導入系統の乾燥耐性検証実験を行なった。導入した遺伝子について挿入位置が異なる2系統ずつを、遺伝子発現が全身で恒常的に誘導されるActin5Cプロモーター-Ga14配列系統と交配し、その子孫第一世代(F_1)の成虫を実験に用いた。Actin5Cプロモーター-Ga14配列が挿入されている染色体は翅が巻き上がる変異(Cy、巻翅)を持つバランサー染色体とヘテロで維持されているので、F_1では遺伝子発現誘導個体(表現型は直翅)と非誘導個体(巻翅)が理論的にはほぼ同数出現する。乾燥時間ごとに直翅と巻翅の生存率を調べたところ、PvLae2、3、4および対照系統のw^<1118>ではどの乾燥時間において直翅の生存率が巻翅よりやや高い傾向が認められたが、PvLae1では乾燥開始24時間の雄で直翅の生存率が巻翅より低くなった。この区分での生存個体が乾燥により失った水分を計量結果から算出したところ、巻翅が失った水分量は他のPvLae導入系統や対照系統の雄・24時間の区分のデータと同程度の60%前後であるのに対し、直翅では70%前後と、より多くの水分が失われていることが分かった。LEAタンパク質の機能として、両親媒性の性質による生体中の器官の保護や、それ自身の親水性から保湿等の乾燥に対する直接的な効果も予想されていたが、今回の結果から4つのPvLEAタンパク質は単独では乾燥耐性に対し直接関与していないことが示唆された。また、PvLEA1の強制発現が乾燥感受性を引き起こすという結果は、これまで不明瞭であったLEAタンパク質の機能を探る上で逆説的にひとつの突破口ともいえ、キイロショウジョウバエでの作用機構の調査から、ネムリユスリカにおける乾燥耐性機構の解明につながるものと期待される。
|
Research Products
(3 results)