2009 Fiscal Year Annual Research Report
スズメバチのシルクが有するコイルドコイル構造の精密解析と構造形成機序の解明
Project/Area Number |
21580072
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
亀田 恒徳 National Institute of Agrobiological Sciences, 絹タンパク素材開発ユニット, 主任研究員 (70334042)
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Keywords | シルク / スズメバチ / タンパク質 / 高次構造 / コイルドコイル / ゲル / フィルム / 昆虫素材 |
Research Abstract |
スズメバチの幼虫が作るマユ(ホーネットシルク、以下ではHSと略す)が、『Coiled-coil構造を主体とした、羊毛などのケラチンに近い構造を有し、βシートから成る従来のシルクとは全く異なった構造である』ことを実験的に証明することを目的とする。さらに、このCoiled coilの形成が、HS水溶液のゲル化を促進することの実証と、このゲル形成能力を利用したCoiled coil構造から成る高伸縮性タンパク質素材を得るための基礎的知見を得ることを目的としている。 この目的を達成するために,平成21年度は以下に示す2課題について研究を行った. (1)HSがCoiled-coil構造を主体としていることを実証する (2)HSのゲル化がCoiled-coil形成を起点として進行していることを明らかにする 本年度の研究の成果として、HSのゲルを圧縮乾燥して作製したフィルム(ゲルフィルム)が天然状態のHSと同様の構造を有することが固体NMRおよびX線回折測定より明らかになった。そこで、このゲルフィルムの構造および物性を詳しく調べることによって、HSの天然状態での構造や物性が明らかになると考えた。ゲルフィルムは比較的容易に延伸することができ、延伸したフィルムのX線回折測定からは、分子構造に関する詳細な情報を得ることができた。この結果、HSがCoiled-coil構造を主体としていることが明らかになった。 さらに、複屈折や力学測定の結果を組み合わせることにより、ゲルフィルムの物性にCoiled-coil構造の形成が大きく寄与していることが分かった。このような結果は、HSがゲル化する過程において、Coiled-coilの形成が、ゲル化の起点となって進行していることを示唆するものと考えている。
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Research Products
(8 results)