2010 Fiscal Year Annual Research Report
スズメバチのシルクが有するコイルドコイル構造の精密解析と構造形成機序の解明
Project/Area Number |
21580072
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
亀田 恒徳 独立行政法人農業生物資源研究所, 絹タンパク素材開発ユニット, 主任研究員 (70334042)
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Keywords | シルク / スズメバチ / タンパク質 / 高次構造 / コイルドコイル / ゲル / フィルム / 昆虫素材 |
Research Abstract |
スズメバチの幼虫が作るマユ(ホーネットシルク、以下ではHSと略す)が、『Coiled-coil構造を主体とした、羊毛などのケラチンに近い構造を有し、βシートから成る従来のシルクとは全く異なった構造である』ことを実験的に証明することを目的とする。さらに、このCoiled coilの形成が、HS水溶液のゲル化を促進することの実証と、このゲル形成能力を利用したCoiled coil構造から成る高伸縮性タンパク質素材を得るための基礎的知見を得ることを目的としている。 この目的の達成に向けて,平成21年度は以下に示す2課題について研究を行った (1)HSの安定同位体元素の導入に関する検討を行う (2)昨年度使用した固体NMR(磁場強度7T)よりも磁場強度が強い高磁場固体NMR(磁場強度14.1T)を用いて,スペクトルの分解能と感度の向上をはかる ^<13>C同位体アミノ酸を混ぜた餌を与えて5齢スズメバチ幼虫を飼育する方法を検討した。その結果、^<13>C同位体元素を含むシルク蛋白質を幼虫体内で生合成させることに成功し、^<13>C標識HSを得ることが可能なった。このHSを固体NMR試料として用いることにより、同位体標識部位の構造を選択的、且つ、高感度で解析することが可能になった。さらに、昨年度よりも磁場強度が強い高磁場固体NMRを用いることにより、スペクトルの分解能と感度が大幅に向上した。これらの技術的な進歩により、HSの延伸過程における分子鎖配向挙動を詳細に解析することに成功した。この解析結果は、HS中にCoiled-coil構造が形成されていること、さらに、それらが剛直な分子鎖束を形成していることを示唆するものであった。これらの結果は、上記の目的を達成するための重要な手掛かりを与えた。
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Research Products
(8 results)