2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレスと果実糖代謝のシグナルクロストーク現象の実態解明
Project/Area Number |
21580075
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松倉 千昭 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60361309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 純子 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90302372)
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Keywords | 糖代謝 / AGPase / トマト / 果実 / 環境ストレス / 種子プライミング / 青枯病抵抗性 / ジベレリン |
Research Abstract |
本課題ではトマト果実発達初期のデンプン生合成に着目して,ADP-glucose pyrophosphorylase (AGPase)の発現制御メカニズムや果実における生理機能,栽培環境ストレス-糖代謝シグナルクロストークの実態解明を進めた.また,塩ストレス処理による種子発芽促進の機構解明を行った. 1.果実におけるAGPase発現制御様式の解明 塩類ストレスに応答するものの糖応答を示さないAgpS1遺伝子について重点的に解析を進め,当該遺伝子の発現誘導にはNa^+が関与し,Cl^-,K^+は影響しないことを初めて明らかにした,塩類ストレスによるAGPaseの発現誘導には糖とナトリウムイオンによる2系統の制御が関与していると考えられる。 2.AgpL1およびAgpS1遺伝子の転写因子単離と機能解析 アグロインジェクション法により果実におけるAgpS1プロモーターの発現誘導活性を確認した. 3.AGPase遺伝子RNAi形質転換体の作出と機能解析 AgpL1,AgpS1遺伝子RNAi形質転換系統について形質調査を行い,果実デンプン含量が減少していること,植物体全体のバイオマスが低下していることを明らかにした.また,デンプン蓄積が完全に抑制された系統を用い,未熟果実に蓄積するデンプンの糖への貢献度が4割程度であることを初めて明らかにした. 4。NCED遺伝子過剰発現形質転換体におけるデンプン生合成・糖代謝動態の解析(研究分担者が担当) 形質転換系統の作出が不調に終わったため,特に進展なし. 5.塩ストレス処理(予措)によるトマト種子発芽促進の機構解明 播種前に300mM NaCl処理を行うことにより1)発芽だけでなく青枯病抵抗性が増進すること,2)オーキシン応答、細胞伸長及びストレス応答関連転写因子遺伝子群の発現に増加がみられ,発芽向上・生育促進,耐病性の獲得が遺伝子発現レベルで生起していること3)プライミング処理により生起する発芽促進にはGA_4が主要な役割を果たしていることを明らかにした.
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