2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580078
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 洋子 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (50166831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 孝行 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (60362985)
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Keywords | アルミニウム耐性 / インベルターゼ / エネルギー代謝 / 解糖系 / スクロース輸送体 / タバコ培養細胞 / メタボローム解析 / ALMT1 |
Research Abstract |
本研究は、アルミニウム(Al)応答に関わる分子を生理学的解析ならびにメタボローム解析によって明らかにし、Al耐性に関わる遺伝子の同定を最終目標としている。本年度は、タバコの培養細胞株および植物体を材料に、糖の輪送体ならびにインベルターゼの解析を行った。さらに、Al耐性タバコ培養細胞株と野生株のメタボローム解析により耐性応答に関連すると思われる代謝経路を見出した。詳細は次の通りである。 これまでの解析から、Alは糖の取り込みを抑制するとともに糖代謝を亢進している可能性が高い。液胞インベルターゼはスクロースを分解することで解糖系へ基質を供給するとともに細胞へのスクロースの取り込み促進することが考えられているが、実際、Alにより培養細胞と根の両方で一過的な活性上昇を見出した。一方、糖の取り込みに関して、タバコのスクロース遺伝子をクローニングし、培養細胞株と植物体に導入し発現量が変化した形質転換体を作成した。次年度は、形質転換体を用いてAl耐性度を評価する。 Al耐性に関連したメタボローム解析として2セット行った。一つは、Al耐性培養細胞株と感受性株の比較、もう一つはコムギのAl耐性遺伝子ALMT1の導入で耐性を獲得した形質転換タバコ細胞株と非形質転換細胞株との比較である。ALMT1遺伝子はAlで活性化されるリンゴ酸輸送体をコードする。前者のAl耐性株では構成的に解糖系が亢進しTCA回路が抑制されていた。一方、ALMT形質転換細胞株ではAl処理によりリンゴ酸の減少とともに他の有機酸量の変動も引き起こしていた。以上の解析で見出した酵素活性や代謝変動についてAl耐性との関わりを次年度解析する。なお、ALMT1輸送体については、Alによる活性化機構についても解析し、N末端側にある3個の酸性アミノ酸が必要であることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)