2011 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアの環境適応に果たすHtpG(Hsp90)の役割
Project/Area Number |
21580083
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
仲本 準 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30192678)
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Keywords | 応用微生物 / 環境 / ストレス / 進化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果の一つは、HtpGに結合した基質タンパク質がDnaK2/DnaJ2/GrpEシャペロン系によって折りたたまれて再活性化することを明らかにしたことである。本年度は、HtpGからDnaK2へ基質が転移する際に、HtpGへのATP結合とその加水分解が必要とされるかどうかを検討した。真核細胞Hsp90からの基質の解離には、これらが必要であることが明らかにされている。Hsp90(HtpG)のATPase活性を特異的に阻害するラディシコールを加えても、HtpGからDnaK2への基質の転移が阻害されることはなかった。従って、真核細胞Hsp90とは全く異なる機構でHtpGは基質をDnaK2に転移するのではないかと考えられた。次に、タグ融合HtpGを用いたプルダウン法やHtpG抗体を用いた免疫沈降法によって、Synechococcus elongatus PCC7942株の細胞抽出液中の、HtpGやDnaJ2と相互作用する基質タンパク質やコシャペロンの探索を行った。再現性良く基質を同定するまでには至らなかったが、GroEL1及びGroEL2が、DnaK2/DnaJ2/GrpEと相互作用することを見出した。我々は、S.elongatusのhtpG変異株が高温に加え低温にも感受性であることや、野生株が低温下でGroELとDnaKが含まれる450kDa複合体を蓄積するのに対して、htpG変異株は蓄積しないことを発見し、GroELとDnaK及びHtpGを含む複合体がシアノバクテリアの低温順化において重要な働きをするのではないかと推察した(Hossain MM, Nakamoto H.Curr Microbiol.44:291-296,2002)。本年度のこの研究成果は、シアノバクテリアの低温適応に果たすHtpG等の分子シャペロンの役割の解明に向けた第一歩になったと考えられる。
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Research Products
(8 results)