2009 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌黄色色素生産における最終産物による自己生合成遺伝子群転写抑制の分子機構
Project/Area Number |
21580084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 康夫 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90292789)
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Keywords | 放線菌 / 二次代謝 / 生合成遺伝子 / 発現制御 / 転写因子 / 黄色色素 / 微生物ホルモン / Streptomyces griseus |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでに、放線菌Streptomyces griseusの黄色色素(grixazone、以下GXと略す)生産において、最終生産物であるGXによってGX生合成遺伝子群の転写が抑制される機構があることを見出してきた。この転写抑制には、GXをリガンドとする転写抑制因子(GriZ)とGX生合成の経路特異的転写活性化因子(GriR)の機能を抑制するco-repressor(GriU)の2つのタンパク質が関与する。本研究は、これらのタンパク質の詳細な機能解析により、『二次代謝最終産物による生合成遺伝子発現のフィードバック抑制』という重要な生命現象の分子機構を明らかにすることを目的とした。本年度は、まず、griU遺伝子破壊株およびgriU,griZの二重遺伝子破壊株を作製し、その表現型が予想通りのものであることを確認した。今後、これらの株を用いた転写解析を行っていく。また、DNA-GriR-GriUの3者複合体の形成とその性質について、試験管内反応によって詳細に解析し、GriUが結合することでDNA-GriR間の結合が著しく安定化することを示した。また、GriUによるGriRの転写活性化能の阻害を試験管内反応で検証するため、種々の条件検討を行った。一方、GriZの機能解析には、大量のGXが必要であるが、griU遺伝子破壊株においてgriRを過剰発現させることによってGXを大量に生産できると考え、この系を構築中である。次年度においては、GriZとGXの相互作用やDNA-GriR-GriUの3者複合体の形成について、超高感度等温滴定カロリメトリを用いた解析を行っていく計画である。
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