2010 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌黄色色素生産における最終産物による自己生合成遺伝子群転写抑制の分子機構
Project/Area Number |
21580084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 康夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90292789)
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Keywords | 放線菌 / 二次代謝 / 生合成遺伝子 / 発現制御 / 転写因子 / 黄色色素 / 微生物ホルモン / Streptomyces griseus |
Research Abstract |
放線菌Streptomyces griseusの黄色色素(grixazone、以下GXと略す)生産において、最終生産物であるGXによってGX生合成遺伝子群の転写が抑制される機構があることが示唆されていた。GXをリガンドとする転写抑制因子(GriZ)とGX生合成の経路特異的転写活性化因子(GriR)の機能を抑制するco-repressor (GriU)の2つのタンパク質が、この転写抑制に関わると考えられたおり、その機能の詳細を明らかにすることが本研究の目的であった。昨年度、DNA-GriR-GriUの3者複合体の形成とその性質について、試験管内反応によって詳細に解析し、GriUが結合することでDNA-GriR間の結合が著しく安定化することを示したが、さらにin vitroでの解析を続け、GriUが存在しない時にはRNAポリメラーゼ(RNAP)-GriR-DNAの3者複合体が形成されるのに対して、GriU存在時ではRNAPがDNAに結合できないことを明らかにした。これにより、アンチアクチベーターとしてのGriUの機能を証明することができた。一方、GX(GX-A)を大量調製し、GriZとの結合を詳細に調べようとしたが、以前の結果と異なり、結合が確認できなかった。GriZのリガンドに関しては慎重に検討中である。また、種々の遺伝子破壊株におけるGX生合成遺伝子の転写様式を解析した結果、野生株の培養後期に見られるGX生合成遺伝子の転写抑制にはGriZ-GriU系は関与しないことが明らかになった。これらの結果より、GriUの生体内での機能が当初の想定と異なる可能性が高くなったため、新しい視点からの解析を開始した。
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