2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌ペリプラズムにおけるタンパク質ジスルフィド結合形成機構の解析
Project/Area Number |
21580092
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
門倉 広 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 研究員 (70224558)
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Keywords | 微生物機能 / ジスルフィド / 立体構造形成 / 分泌 / DsbA |
Research Abstract |
ジスルフィド結合の形成は、産業上有用なタンパク質を含む、多くの分泌タンパク質が正しい立体構造を形成する上で必須のステップである。その理解に向けて平成22年度は以下の解析を行った。 1.本研究では、これまでに、大腸菌分泌タンパク質PhoA(2個のジスルフィド結合をもつ)のC末側のジスルフィド結合を形成する際に生じる中間体(酵素・基質複合体)を検出しその解析から多くの知見を得た(前年度、Cell誌に発表)。しかし、タンパク質の個々のジスルフィド結合によっては、その形成過程で生じるはずの中間体の寿命が非常に短くその検出が困難なため研究を進める上での障害になっていた。そこで、今年度、実験手法の改善を進めた結果、これまで検出できなかったいくつかの短寿命の中間体を生体内において新たに検出することに成功した。このような技術的なブレークスルーによって初めて私はPhoAのN末側のジスルフィド結合が形成される際の中間体を検出することに成功した。 2.Imp(LptD)は大腸菌外膜に局在するβ-バレル型のタンパク質であり分子内に2組のジスルフィド結合をもつ。しかし、Impのもつ、2組のジスルフィド結合が、どのような仕組みで形成されるかは未だ不明である。今年度は、上記と同様の方法により、Impにおけるジスルフィド結合形成の中間体と考えられる分子を生体内で検出することに成功した。今後は、この分子の構造と挙動を詳細に解析し、その形成機構を調べていく予定である。 3.大腸菌の内膜にはシステインのシャトルシステムが存在すること、および、このシステムがジスルフィド結合形成促進酵素DsbAの活性化状態に影響を及ぼしうることを世界で初めて発見しその内容を論文にまとめ、JBC誌に報告した。
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