2011 Fiscal Year Annual Research Report
高度好熱菌のシリカ誘導性タンパク質の発現機構の解明と異種タンパク質生産への応用
Project/Area Number |
21580097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土居 克実 九州大学, 大学院・農学研究院, 講師 (40253520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 康介 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00192170)
藤野 泰寛 九州大学, 高等教育開発推進センター, 助教 (70582659)
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Keywords | Thermus thermophilus / シリカ / バイオミネラリゼーション / DNAマイクロアレイ / プロモーター / ABCトランスポーター |
Research Abstract |
シリカスケール中より分離したThermus thermophilus TMYIま、過飽和シリカ含有培地中で非晶質シリカ沈殿を形成する。この際、シリカは菌の生育を阻害しないが、細胞表層に著量のタンパク質発現を引き起こす。本タンパク質はシリカ刺激に応答し発現することからsilica-induced protein (Sip)と命名されたが、同様の誘導産生はT.thermophilus HB8を含む勉Thermus属細菌で広汎に観察された。当該年度は、過飽和シリカ刺激によるシリカ沈殿(バイオミネラリゼーション)機構を転写レベルで網羅的に解析し、特に細胞のシリカ刺激受動と刺激伝達機構の解明を目的として研究を行った。 まず、T.thermophilus HB8を70℃、160rpmで培養し、回収した菌体をシリカ添加(600ppm)および無添加のTM培地にそれぞれ懸濁後、15分、60分培養した。これらの培養菌体から全RNAを抽出し、これを鋳型としてcDNA合成を行った。これらをGeneChipカスタムアレイとハイブリダイズしてトランスクリプトーム解析を行った。 その結果、sip(Gene ID : TTHA1628)の転写量は15、60分後では、約4倍、約8倍に増大した。ところが、Sipと共にFe^<3+>結合性ABC transporterを構成し、オペロン構造をとると推定されるTTHA1629、TTHA1630の転写量増大は15分後では観察されなかった。よって、sipは単なる鉄輸送のABC transporterではなく、シリカに特異的な機能を有することが推察された。また、各時間の転写量が有意に異なる遺伝子が検出され、各遺伝子上流の配列からプロモーターを検索し、primer extension法などにより転写開始点の決定とレポーター遺伝子を用いたプロモーター強度の測定を行った。これらの結果を総合して、シリカ刺激応答やバイオミネラリゼーションに関与する遺伝子群を明らかにできた。
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