2009 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌の呼吸と二次代謝の連携:末端酸化酵素の新たな役割
Project/Area Number |
21580103
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上田 賢志 Nihon University, 生物資源科学部, 准教授 (00277401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 英晃 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (50385994)
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Keywords | Streptomyces / respiration / cytochrome oxidase / Scol / antibiotics / cell differentiation / regulation / conservon |
Research Abstract |
(1)各呼吸鎖末端酵素の欠失変異体の作成と二次代謝・形態分化への影響調査: 全ゲノム配列が明らかにされているモデル株Streptomyces coelicolor A3(2)とStreptomyces griseusを用いて、末端呼吸系をコードする遺伝子群の破壊株を取得した。その結果、シトクロムc酸化酵素に関連する遺伝子の破壊株はすでに取得されていたctaCD変異株と同様に顕著な形態分化と抗生物質生産の抑制が認められることを見いだした。また、代替の呼吸鎖をコードするcydABCD遺伝子破壊株も類似の形質を示すことを明らかにした。 (2)呼吸鎖末端酵素の影響をうける信号伝達経路の同定と役割の解析: S.coelicolor A3(2)のctaCD破壊株を用いたDNAマイクロアレイ解析を実施し、この破壊株では一次代謝に関連する遺伝子群の転写が全般に高くなっていることを見いだした。特に、ATP合成酵素コード遺伝子群の転写量の上昇が顕著であったことに基づき、細胞内ATP濃度を測定した結果、ctaCD破壊株ならびにcydABCD破壊株でその顕著な蓄積が起こっていることを発見した。細胞内ATPの濃度が分化開始の鍵になっていることが推測される。 (3)呼吸鎖末端酵素の発現調節機構の解明: 複合体IVに銅イオンを運搬するScol蛋白をコードする遺伝子の転写が数μMの銅イオンによって顕著に抑制されることを見いだした。また、cvnl破壊株についてマイクロアレイ解析を行い、上記のctaCD破壊株と同様に一次代謝関連の多くの遺伝子の発現が上昇していることを見いだした。破壊株の性質に基づき、cvnlは一次代謝の制御に関与することが予想された。
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Research Products
(2 results)