2009 Fiscal Year Annual Research Report
高機能逆転写酵素を用いたcDNA合成法とRNA増幅法の性能評価と用途拡大
Project/Area Number |
21580110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
保川 清 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (30397559)
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Keywords | ウイルス / 核酸 / 酵素 / 酵素反応 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究の目的は、活性、溶解性、安定性が向上した逆転写酵素を用いたcDNA合成法やRNA増幅法では、野性型の逆転写酵素を用いた場合よりも感度・迅速性が向上し、プライマー設計が容易になることを実証し、cDNA合成法やRNA増幅法の用途を拡大させることである。平成21年度の研究成果は以下のとおりである。(1)RNase H活性を消失させると逆転写酵素の熱安定性が向上するメカニズムについて解析し、鋳型プライマーとの親和性向上により熱安定性が向上するのではないことを示した(Mizuno et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 74, 440-442, 2010)。(2)逆転写酵素の鋳型プライマーと相互作用する領域に部位特異的変異により正電荷を導入することにより、その熱安定性を向上させた。(3)性能が向上した逆転写酵素の実用性を評価するために、Bacillus cereusのcesA(毒素合成タンパク質の遺伝子)RNAを標的とするRT-PCRおよびRNA増幅法を構築した(Yasukawa et al., Enz. Microb. Technol. 46, 391-396, 2010)。この系を用いることにより、熱安定性が向上した逆転写酵素を用いたcDNA合成反応では至適温度が上がることを示した。(4)逆転写酵素に対する有機溶媒の効果を検討した。ジメチルスルホキシド(DMSO)とホルムアミドは低温で反応効率を向上させたが、これはDMSO,ホルムアミドがプライマーの融解温度を低下させたためと考えられた。グリセロールは高温で反応効率を向上させたが、これはグリセロールが逆転写酵素の熱安定性を向上させたためと考えられた(保川ら、2010年度日本農芸化学会大会)。
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Research Products
(9 results)